アメリカ軍がファンタジー世界に召喚されますたNo.14 (1000レス)
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949: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/09/21(水)18:46 ID:EOmKTrqE0(31/63) AAS
12月12日 午後8時 第1親衛石甲軍司令部

シホールアンル軍第1親衛石甲軍の指揮官であるルイクス・エルファルフ大将は、司令部天幕の中で、机に広げた地図を見据えながら
状況報告を聞いていた。

「閣下……我が第1親衛石甲軍は今日一日の空襲により、かなりの損害を受けました。解囲攻勢に出ていた第3親衛軍団の損害は特に深刻で、
第5、第6親衛石甲師団共に、稼働するキリラルブスは僅か。兵員の損耗も限界を超えております」

参謀長のウリィンキ・ヴェフル少将は、平静さを装っていたが、その口調は震えているようにも思える。

「第20石甲軍の第56軍団も同様であり、解囲攻勢の失敗は明らかとなりました」
「……分断された第20石甲軍との連絡も確保できず、挙句の果てに、包囲網からの突破も失敗……か」
省12
950: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/09/21(水)18:50 ID:EOmKTrqE0(32/63) AAS
エルファルフは、冷めたい口調で参謀たちに言う。

「戦って死ぬか……敵に降伏するか……だな」
「ライバスツ閣下はどのように判断されますかな」

エスフォレウヲ大佐の問いに、エルファルフは首を振って答える。

「俺にもわからんが……どちらにせよ、命令に従うまでさ」

「現時点で、我が軍集団は各軍共に、損耗が大きすぎます。敵が航空支援を受けられる状態となった今、包囲網の突破も不可能となっています」
省19
951: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/09/21(水)18:51 ID:EOmKTrqE0(33/63) AAS
「司令官、軍集団司令部より魔法通信が入りました」
「内容は?」
「は……少々お待ちを」

エスフォレウヲ大佐は、部下の通信員が魔法通信を受信し、その内容を書き記すのを待つが、途中で、通信員の筆が止まった。
その魔導士は一瞬、目を大きく見開いたが、気を取り直して内容を書き記していく。
どういう訳か、その魔導士は目に涙を浮かべていた。
通信員は目を赤く腫らしたまま、紙をエスフォレウヲ大佐に渡す。

「閣下。軍集団司令部より命令です…………」
「どうした?内容を読んでくれ」
「………第76軍を除く第34軍集団所属の各軍は、直ちに連合軍との交戦を取りやめ、降伏するべし。全責任は、本職が取る……
省11
952: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/09/21(水)18:52 ID:EOmKTrqE0(34/63) AAS
エルファルフは、彼の言葉を心底残念そうな心境で聞き、そして、彼の言葉を否定した。

「君の認識は間違っているな」
「な……何故です!?」
「君は忘れたのか?首都ウェルバンルが、その敵に侵入を許してしまったことを」
「あ……あ……ぁ」
「帝国東海岸の制海権は、アメリカ海軍に奪われた。例え、君の言うとおりにここで敵を拘束しても……アメリカ軍はそれを尻目に、
首都の近くに上陸作戦を行う事もできる」

エルファルフは、俯きがちだった顔を上げ、ヴェフル参謀長を真っ直ぐ見据えた。

「包囲までされた上に、戦力の多くを消耗した我々には、敵を拘束する事すらできん。徹底抗戦などは無意味だよ」
「閣下………閣下………私は……ぐっ!」
省7
953: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/09/21(水)18:57 ID:EOmKTrqE0(35/63) AAS
カイトロスク攻防戦両軍死傷者

シホールアンル軍(第34軍集団)
戦死者51820人、捕虜・負傷者259087人

アメリカ軍(第2軍集団・戦略予備軍並びに別動隊)
戦死者21822人、負傷者49433人、捕虜48227人

グレンキア軍(第19装甲軍団)
戦死者6790人、負傷者21834人

ミスリアル軍(第4軍団)
戦死者5877人、負傷者19827人
954: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/09/21(水)18:57 ID:EOmKTrqE0(36/63) AAS
SS投下終了です
955
(1): 2016/09/21(水)19:02 ID:hYW4wGDE0(1) AAS
乙です、
あれ・・シホールアンル側は首都とシギアル港が大被害を受けたってのを知らないのか?
なおかつシギアル港は港が軍港含めて壊滅的被害で海軍はほぼ全滅に等しいってのを知ってれば反抗作戦はすぐ諦めて降伏しただろうに
956
(1): 2016/09/21(水)19:10 ID:epfnrQ5o0(1) AAS
久々の地上戦投下乙でした。
もう一度前の話を読み直さないと忘れていた名前や設定などが色々…
957
(1): 2016/09/21(水)19:12 ID:Pbx6.li60(5/6) AAS
更新お疲れ様です。
・・・これでもはやまともな一線級部隊は消えてしまったかな…。
精鋭部隊も消え、頼みの決戦兵器も消え、安全な後方地帯も消え…。
今まで武器の質や数ともに劣りながらも頑強に粘っていた帝国陸軍ですが、それもとうとうなくなってしまったんですね。
もはや前線指揮官、本部司令部要員、帝都住民でさえ敗戦のときが近いことを感じましたが、皇帝はどこまで頑張れるのだろうか。
もしかしてこれが帝国初めての敗戦になるのかな…。
ともかく次回をキッチンとトイレに爆弾積めながら期待してます!
958
(1): 2016/09/22(木)01:28 ID:9R7ffzTs0(27/29) AAS
投下乙です
塹壕戦のお供スコップはいかがですか?
散開してゲリラ化したシホールアンル兵に携帯型対戦車兵器でもあればもっと活躍できただろうに

今までのシホールアンル軍が他国にしたことを見ると
首都への攻撃=敗戦フラグ
といった印象が強い感じがしますが
「海軍と首都がやられた今ここで踏ん張らねば」と思うのも自然だと思います
映画硫黄島からの手紙の
「我々の子供が日本で一日でも長く安泰に暮らせるならば、
 我々がこの島を守る一日には意味があるんです!」
省16
959
(1): 2016/09/22(木)20:08 ID:xcPdu0fk0(1/2) AAS
ヨークタウン氏投下乙です

>その前に……私は以前から、君の事は高く評価していなかった。無論、今もそうだ
>私は、君が行うその突発的で、衝動的ともいえる作戦がいつ、取り返しのつかぬ失敗を生むか気が気ではなかったのだよ
>その危なっかしい君の勇気が、予定している次の作戦で必要になるのだ

ブル・ハルゼーに面と向かってこんな言葉を吐くとは、流石はニトログリセリン
まあ能力面では合衆国海軍トップクラスではあるが、人望面では最下位確定な彼らしい物言いではあります
そして陸の戦いもついに決着
最後の反攻作戦が失敗に終わり、虎の子の精鋭が失われた以上、シホールアンル側にはもはや打つ手はないようですね
あと南部領に取り残されたシホールアンル軍150万、これからどうするのだろう
降伏か、南部領での徹底抗戦か、それとも本土への帰還を試みるのか…
960
(1): 2016/09/27(火)13:57 ID:om1TLDqA0(6/6) AAS
数十万人の精兵達は、兵器を取り上げられ、俯いたまま敵兵の罵声を浴びながら捕虜収容所への道を歩む

屈辱、絶望、失意、反感、失望

無敵の祖国を信じて戦った彼らはこれ以上なく敗北した
輝ける帝国兵から惨めな虜囚と転落した彼らの心中に渦巻いてた言葉はこれだけだった

『何故?』 と

……こんな感じで戦後の帝政に続くファシズムへの温床になったのでしたとかになったらこえぇー
しかし、思ったよりはシホットの損害は少なく、連合軍の損害が多い。やはり天の采配がそっぽ向いてたせいでしょうか
なんだかアルデンヌ攻勢で始まって、ファレーズ・ポケットで終わったような
包囲範囲はシホールアンル軍の兵器や死体が山の様に散乱して、後世で怪談話に事欠かなそうですねぇ……
省5
961: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/09/28(水)23:43 ID:EOmKTrqE0(37/63) AAS
レスありがとうございます。

>>955氏 首都圏襲撃の報は全部隊に伝わっていますが、各隊の指揮官は、まずは目先の事を優先し、以前と同じように
任務遂行に全力を尽くせと厳命していますので、表面上は何ら変わらないように思えます。
ですが、解囲攻勢失敗後には、意外とあっさり降伏し、兵の大半もそれに応じていますので、実際はかなりの衝撃を受けています。
恐らく、南部領の将兵達の士気もかなり下がっていますので、包囲下に置かれた軍の中では、軍単位で降伏する部隊も現れる
かもしれません。

>>956氏 地上戦は本当に久しぶりなので、かなり四苦八苦しますね。
陸戦を存分に書ける人は本当に尊敬します。

>>957氏 本当に頼りになる精鋭部隊がほぼ丸ごと失われましたからね。
シホールアンル側の防衛計画も完全に破綻しています。
省24
962
(4): 2016/09/29(木)20:18 ID:ppPQaMN.0(1/4) AAS
乙です もう帝国=旧日本陸海軍に思えてきましたね 残された戦法は神風か竹槍突撃しかないんじゃないかと思うぐらいに惨敗状態
あとは上がどれほど犠牲を少なくして講和に持ち込むかだけど 帝国のプライドが許さないので戦いが終わらず 無駄に国民の犠牲が増えそうで怖い。
963
(1): 2016/09/29(木)20:32 ID:/GWE1DxM0(1) AAS
>>962
ただ帝国側にも一定の戦力を残しとかないと戦後を考えた際に確実にあの大陸が荒れに荒れるからな・・
964
(1): 2016/09/30(金)09:07 ID:D7PM70qY0(1) AAS
>>962
国民総動員で戦争になったらさすがに厭戦広がって終戦派が増えるだろうな

増えるよね?そこまでガチムチじゃないよね?
965
(1): 2016/09/30(金)16:00 ID:ppPQaMN.0(2/4) AAS
>>962
帝国が降伏しても 認めない残党が残りテロやゲリラが増えて戦後もひたすら非正規戦が増えそうな予感
終わりなき面倒な戦いに巻き込まれる米国  あれ?なんかどこかで見たような構図だー
966: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/09/30(金)20:31 ID:EOmKTrqE0(38/63) AAS
>>962氏 本当に歴史上、稀に見るほどの惨敗を喫してしまいましたからね。帝国陸海軍の首脳がこの一件で……

>>963氏 巡り巡ってアメリカに…と言う事も考えられますからな。史実の再来となったら本当に酷いもんです

>>964氏 普通に終戦を公言する者も出始めていますね。

>>965氏 この世界でも、史実のようになったらまた面倒になりそうです

それでは、SS投下いたします
967: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/09/30(金)20:32 ID:EOmKTrqE0(39/63) AAS
第280話 望まざる頂点

1485年(1945年)12月13日 午後2時 シホールアンル帝国首都ウェルバンル

リリスティ・モルクンレル海軍大将は、葬式の参加を終え、午前11時に邸宅に戻った後、一息入れてから海軍総司令部へ
向かおうとしていた。
馬車は、通り道であるウェルバンル市街地を行くのだが……人通りはまばらであり、歩く人の姿は数えるほどしか見えない。
いつもは通りの両側に露店が立ち並ぶ区画も、今は露店が全く無く、固く閉ざされた家々が、寂しく見えるだけだ。
これに、冬の暗い寒空が覆われている事もあり、通りの寂しさ……もとい、首都ウェルバンルそのものの雰囲気を如実に表している。

(噂では、首都を脱出した臣民の数は50万にも上ると言われている。そして、今もなお、人口の流出は続いている。
過去の華やかしき帝都の姿は、もはや過去の物……か)

リリスティは、寂し気な通りを馬車の窓から無言で眺めながら、この国の置かれた実情が予想以上に厳しい物になりつつあると、
省12
968: ヨークタウン◆.EC28/54Ag 2016/09/30(金)20:32 ID:EOmKTrqE0(40/63) AAS
「ええ。早速ですが、よろしくない報告が入っています」

ヴィルリエはリリスティの右横に並ぶと、持っていた紙を彼女に手渡した。

「帰還中だった竜母ランフックが、軍港へ入港する出入り口の前で、敵の放流した機雷に接触。ランフックは出入り口付近で着底しました」
「嘘でしょ……」

リリスティは、突然の凶報に右手で額を抑えた。

「申し訳ありませんが、嘘ではありません。幸い、乗員の戦死者はあまり多くは無く、海戦で生き残った乗員は艦を脱出し、大半が救助されました」
「船は沈んだけど、乗員が助かったのは不幸中の幸い……か」
省13
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