[過去ログ] 戦隊シリーズ総合カップルスレ 3 (1001レス)
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801: 775 2006/09/09(土)02:20 ID:osPUkgsQ(1/12) AAS
冒険赤桃、エロも入れられたのでこちらに投下します。
ただ、それによって以前こちらに投下させてもらった作品と
繋げざるを得なくなってしまいました。すみません。
他カップリングをお待ちの方はスルーお願いいたします。
802: 恋一夜 1 2006/09/09(土)02:21 ID:osPUkgsQ(2/12) AAS
後ろから抱きすくめられて首筋にキスされただけで、膝の力が抜けていった。
何処がどれくらい敏感なのか、どんな風に触れたら私がどうなってしまうのか、
多分私自身よりチーフの方がよく知っている気がする。今だって、後ろから
回されている手がジャケット越しにゆっくり滑っているだけなのに、
肌が熱を増していくのが判るほどだから。
体の芯が熱くなる。膝がかくりと折れ、チーフの腕に支えられた私は微かな声で訴えた。
「チーフ…もう…」
“駄目”とさえ言えない私をチーフの腕がそっと抱く。体を支えられたまま
チーフと向かい合わせにされ、私はチーフを見上げた。
頬に手を当てられ、唇を重ね合う。ざらりとした舌の感触にいつの間にか
省5
803: 恋一夜 2 2006/09/09(土)02:22 ID:osPUkgsQ(3/12) AAS
いつものように灯りが消され、チーフの姿が見えなくなる。カーテンを開け放った
窓の向こうに、寮の庭に咲く桜が見えた。月の光に照らされて白く浮かび上がる様がひどく綺麗だ。
でも、花と比べるなんて馬鹿げていると思うけれど、同じ名前を持っているのに
置かれている状況があまりに違いすぎると思ったら、喉の奥から何かがこみ上げてきた。
その命は短くとも沢山の人に愛でられて咲き誇る桜と、たった一人の人にさえ
想われることのない私。一体どちらが幸福だろう。
「さくら…」
チーフの唇がピアスごと耳朶を包み込む。留め金を転がすように触れる舌が
耳朶をも撫でていき、背中が持ち上げられるような感覚が私を襲った。
チーフはいつもそっと私に触れてくる。その指も唇も決して強引ではなくて、
省7
804: 恋一夜 3 2006/09/09(土)02:23 ID:osPUkgsQ(4/12) AAS
私の服を脱がせながら、チーフは自分の服も脱いでいく。薄闇の中に浮かび上がる
厚い胸板に、何度顔を埋めたかもう判らなくなってしまった。チーフの指や唇が
作り出す波にいつも乱されて、何もかもがどうでもよくなっていく。
このままでいい筈がない。少しずつ、でも確実に自分の中の何かが壊れていくことに
私は気づいていた。それなのに、チーフに求められると応えずにはいられなかった。
チーフが無理強いするわけじゃない。私自身が、そう望んでしまうのだ。
「チーフ…あ…っ」
胸に直接触れられて思わず声が洩れる。指を噛んで快感をやり過ごそうとすると、
チーフの手が私の指を口から外させた。その指にそっと押し当てられた唇が、
次いで私の唇に重ねられる。体の奥から湧き出すものを感じながら、その時私は不意に
省1
805: 恋一夜 4 2006/09/09(土)02:24 ID:osPUkgsQ(5/12) AAS
子どもの頃から家を出るまでずっと、私は「西堀家のお嬢様」だった。
私を「私」として、「西堀さくら」として見てくれる人は誰もいなかった。
両親でさえ、西堀家の娘として恥ずかしくない人間になるようにと、お茶やお花の
お稽古ごとに私を追い立て、そのくせ何かと言うと物を買い与えた。
息苦しかった。与えられるばかりで、本当に自分のやりたいことや欲しいものが
何なのか考える暇さえなく、ただただ親の、家の為に存在する生きた人形。それが私だった。
人は私を贅沢だと言うだろう。自分の置かれている環境がどれほど豊かで
恵まれているか考えもせず、そこから脱け出したいと願う我儘な娘。籠の中の鳥は
そこにいるからこそ生きられるのに、身の程を知らない愚かな娘だと。
けれど、何と言われようと構わなかった。生きている実感が欲しかった。自衛隊を
省8
806: 恋一夜 5 2006/09/09(土)02:25 ID:osPUkgsQ(6/12) AAS
正式に断ったのに人をよこすなんて、とサージェスに対していささか腹立たしさを
覚えた私の対応は当然ながらつっけんどんだった。でもチーフは腹立ちに腹立ちで
返すような人ではなく、静かに私に問いかけた。
――それは見つかったのか――
自ら飛び込んだ場所でも、私は本当にしたいことを見つけられなかった。私が
より腹立ちを覚えたのは自分自身に対してで、でも「西堀家のお嬢様」と口にした
チーフにそれを知られたくなくて虚勢を張った。
――ボウケンジャーとかになれば、私の求めるものが見つかるんですか?――
どんな答えが返ってこようと、納得なんてできないだろう、そう思っていたのに。
――誰にでも自分だけの宝がある。それは誰にも与えることはできない。自分で見つけるしかない――
省6
807: 恋一夜 6 2006/09/09(土)02:26 ID:osPUkgsQ(7/12) AAS
――…帰って下さい――
ようやく声を絞り出す。それでも、二度と来ないでくれとは言えなかった。チーフは
張り詰めた表情のまま私を見つめ、「また来る」と言い残して去っていった。
私の心を初めて揺らした人。それが、チーフだった。
次にチーフが来たのは、それから一週間後のことだった。
――またあなたですか――
呆れた声を出しつつ、チーフの来訪を何処かで待っていた自分がいることに私は気づいていた。
――“帰れ”とは言われたが、“もう来るな”とは言われていないからな――
――いい加減に解放して――
言いかけて視線を合わせたチーフの顔は、不敵なまでの自信に満ちているように見えた。
省15
808: 恋一夜 7 2006/09/09(土)02:28 ID:osPUkgsQ(8/12) AAS
でもその時、アクセルラーがチーフを呼び出した。「此処にいてくれ」と言い置いた
チーフは、近くにある階段の踊り場でしばし何事かやり取りをし、戻ってくると私に言った。
――プレシャス回収に行くことになった――
それならば今日はこれで帰ることになるだろうと思い頷きかけた私に、
チーフは思いがけない科白を投げかけた。
――一緒に行かないか――
――…は?――
間の抜けた声が零れ出た。何を馬鹿なことを言うのかと思いながらチーフを
まじまじと見た私に、チーフは口元を少し緩めて言った。
――百聞は一見に如かずだ。俺達が君に何を求めているか、その目で見てもらった方が早いだろう?――
省18
809: 恋一夜 8 2006/09/09(土)02:29 ID:osPUkgsQ(9/12) AAS
――着ておいてくれ。取り敢えず君もサージェスの人間として同行したことにする――
――…ピンク、ですか――
――何か問題でも?――
ピンクなんてもう何年も着ていない。しかも随分と濃い色だ。けれどその時のチーフは
それがさも当然と言わんばかりの横顔を私に向けていて、私は「いいえ」と
かぶりを振るよりほかなかった。
目的地に着いたチーフは案内に従って車を駐車場に入れ、ドアのロックを
解除した。助手席から降りてジャケットを着た私を見、チーフは唇をほころばせて言った。
――頼りにしてるぞ、西堀さくら――
私の背中にぽんと手を置き、チーフは邸内へ入っていく。呆気に取られて
省18
810: 恋一夜 9 2006/09/09(土)02:30 ID:osPUkgsQ(10/12) AAS
マサキさんとキョウコさんのことは、その日初めて聞いた。チーフは多くを語らず、
昔の仲間を二人、目の前で失ったとだけ言った。その時のチーフはやけに苦しげで、
二人がチーフにとってどんなに大切な存在だったかは朧げながら理解できた。
次の日の朝が早い蒼太くんが帰っても、酔ったチーフを一人にできなくて、
私はチーフの部屋にいた。できることなら一晩中でも傍にいたいと思ったけれど、
そんなことができる筈などないと思ってもいた。
それがあんな形で現実のものになったのは、私が心の何処かでそうなることを
望んでいたからなのだろうか。
抱きしめられて、キスをされて。チーフの腕の中でもがいたけれど、私を組み敷いた
チーフの目に宿る色が抵抗をやめさせた。
省19
811: 恋一夜 10 2006/09/09(土)02:31 ID:osPUkgsQ(11/12) AAS
「あ…や、ああ…っ」
耳元で響く声が背筋をぞくりとさせる。その手が肌を滑り、唇が押し当てられる度、
体の奥が波打つような気がした。一番深い場所にチーフを包み込み、突き上げられる
その感触に翻弄されながら、喉から洩れる声をどうにかして押さえ込む。
溢れそうなこの想いを知られたくないと思いながら、心の何処かに伝えたいと願う自分がいた。
――けれど。
「んっ…ああっ…」
「くっ…」
ぴたりと重なった肌も、私の中のチーフ自身も、絡み合う舌と舌も、全てがただ熱くて。
だからこそ言えないのだと、私はまた思い知る。そこにチーフの心はないと私は知っているから。
省11
812: 775 2006/09/09(土)02:33 ID:osPUkgsQ(12/12) AAS
以上です。お付き合い、有難うございました。
この作品は此処で終わりますが、これ以降、>>152-169と、>>207-220へと続きます。
前の二作品に繋げたので、暗い話で申し訳ないです。
775=>>151、でした。
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