[過去ログ] 【クリアリ】クリフトとアリーナの想いは Part13【アリクリ】 (982レス)
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920: 一 秘められた恋 1/3 2014/09/15(月)20:50 ID:KapdKcF70(2/7) AAS
とある世界の北西に位置する国、サントハイム王国。
ここで今もなお静かに語り継がれる、悲しくも美しい物語。
唯一の王位継承者たる王女と、幼なじみで腹心の臣下でもあった神官の青年。
やがて成長した二人は、とある長旅をきっかけに想いを寄せ合うようになった。
だが、彼の出自が明らかでないことを理由に周囲から反対の声が根強く、
淡い初恋は実を結ぶことなく散っていった。
青年は報われぬ自分の想いを断ち切るべく、自ら国王に申し出て
長年慣れ親しんだこの城を離れ、一人新天地へと赴いていった。
『それならば、私は国家の花嫁になりましょう――――』
それが執拗に縁談を勧める父王に対する、王女唯一の抵抗でもあった。
省32
921: 秘められた恋 2/3 2014/09/15(月)20:53 ID:KapdKcF70(3/7) AAS
幸せそうに微笑む二人。写真の裏にはこう記されていた。
『クリフト。たとえ添い遂げられずとも、あなたは私が愛した最初で最後の人です』
風のうわさ程度だが、話には聞いたことがあった。
かつて世界を闇の恐怖から解放した、天空の血を引く勇者と七人の英雄たち。
その一員である若き王女の活躍と、誠実な臣下であった聖職者の献身。
そして、許されることなく終焉を迎えた彼との悲恋。
「クリフト?ねえ、そこに…いるんでしょう?私よ…アリーナよ」
省30
922: 秘められた恋 3/3 2014/09/15(月)20:56 ID:KapdKcF70(4/7) AAS
「これは陛下。この度はご即位おめでとうございます」
「広大な庭園の手入れ、いつもご苦労さまです。庭師殿」
「もったいないお言葉で……おや?こんな所に赤と青の花がいつの間に。
うーん、花壇の黄色にはそぐわないようですな。取ってしまいましょう」
花を摘み取ろうとする庭師の腕を、青年の手が反射的に遮る。
「悪いが庭師殿、この花はそのままにしておいてくれないか」
「はい…承知いたしました、陛下。ではこのままにしておきますので、これにて」
青年の意図がわからず首を傾げながらも、庭師は新たな主人の命に従った。
軽く一礼をしたあと、道具を抱えて別の花壇へと向かってゆく。
省31
923: 二 綻びゆく絲 1/3 2014/09/15(月)21:08 ID:KapdKcF70(5/7) AAS
あれからはや三月が過ぎた。
うだるような暑さが続く真夏の昼下がり。
連日の公務に忙殺される青年は、気晴らしに城の最上階へと足を運んだ。
彼が向かったのは、歴代の王に代々受け継がれてきた寝室。
豪華な額に飾られた先代女王の肖像画が、涼しげな笑顔で我が子を迎える。
即位十年の節目を記念に、絵心のある青年が半年をかけて描いた大作だ。
最初は「恥ずかしいから」とモデルになるのを固辞していた女王だったが、
完成した絵を見るや否や一目で気に入り、寝室に飾るよう指示したという。
出窓から吹き付ける涼風を受け、青年は亡き養母への思いを馳せる。
だが、彼がここを休息場所に選んだのは、単に感傷に浸るだけではなかった。
省24
924: 綻びゆく絲 2/3 2014/09/15(月)21:23 ID:KapdKcF70(6/7) AAS
青年の目に留まったのは、鮮やかな樺色の巻き毛を無造作に束ね、
生まれて間もない赤子を胸に抱く女王の姿だった。
威厳に満ちた名君の姿とは対照的に、まるで地母神のごとく慈愛あふれる表情。
幾度となく手に取って眺めたのだろうか。写真の状態はあまり良くなかった。
裏面に目をやると、右下に日付と場所が小さく記されていた。
(二十年前、先月の末日。南の屋敷にて、か――――)
どこか見覚えのある場所もさることながら、気になるのは記された日時。
そう、彼がこの世に産声を上げた日から、わずか五日後だったのだ。
青年はふと、ある昔のうわさ話を思い出した。
省27
925: 綻びゆく絲 3/3 2014/09/15(月)21:28 ID:KapdKcF70(7/7) AAS
「元気そうだな。お前、また背が伸びたんじゃないか?」
「はい。このままだともうすぐ兄上を追い越しますね」
「こいつ、生意気だぞ!」
大人ぶる弟の髪をくしゃくしゃとかき回し、青年は久方ぶりに大声で笑った。
国中の期待を一身に背負う為政者としての葛藤など、もはや存在しなかった。
国王という重厚な鎧をいとも簡単に脱ぎ捨てられる、大切な場所――――
あれほど自分に重くのしかかっていた重圧感が、実に他愛もなく思えた。
「一体どうしたというのです、騒々しい。……まあ!いつこちらに?」
外の騒ぎを聞きつけた壮年の女性が、何事かと駆け寄ってきた。
柔和な笑顔で迎えるその女性は青年の生母。先々代国王の弟の一人娘であり、
省27
926: 2014/09/16(火)05:09 ID:S3QpxSvO0(1) AAS
久しぶりに小説キテター
927: 紡がれる愛 1/4 2014/09/16(火)22:43 ID:tIpaBg9U0(1/5) AAS
今からおよそ二十一年前。
国一番のおてんばと呼ばれ、天真爛漫さが魅力的だった王女アリーナ。
しかし、神官クリフトとの不本意な別離が尾を引き、心身ともに焦燥してしまう。
彼女がこの屋敷へ静養に訪れたのは、写真の日付からおよそ半年前。
体調の異変に気づいた当時の母と祖母が王女を問いただすと、
さすがに隠しきれないと観念したのか、これまでの経緯をすべて打ち明けた。
問診の結果、自分に起こった事実を知った彼女は、産むと言ってきかなかったという。
「生命を宿した喜びと失った悲しみの両方を知る私たちは、
あの方の願いを拒むことなど到底できませんでした。同じ女でしたから」
祖母は二度の流産を経験し、難産の末に産まれたのが一人娘である今の母。
省29
928: 紡がれる愛 2/4 2014/09/16(火)22:44 ID:tIpaBg9U0(2/5) AAS
「ごめんなさい。あなただけはどうしても守りたかった。アリーナ様も、私たちも」
堪え切れずに泣き崩れる母を目の当たりにし、青年は我へと返った。
泣かせてしまった罪責感が、激情の泥海に溺れる彼を引きずり出したのか。
つかんでいた肩から両手を離し、うつろな目で天井を仰ぐ。
祖母が亡くなり、実母である女王も逝去した今、出生の秘密を知るのは母だけとなった。
墓場まで持っていく覚悟で、孤高の番人となる道を選んだに違いない。
だが、生みの母さえ守り通した約束を、させた側から破棄させることになろうとは。
青年はこれ以上、己の心情を吐露する気にはなれなかった。
大人になったのだからと強がるつもりはない。
省27
929: 紡がれる愛 3/4 2014/09/16(火)22:51 ID:tIpaBg9U0(3/5) AAS
自身には見えざるもの、母にとっては生涯囚われるはずだった秘密の呪縛。
これからは二人の両親と自らを繋ぐ絆として、大切にしていこう。
無理やり開けた禁断の宝箱。最後に残ったのは、自分に注がれた愛情という名の貴石。
真実の解明ばかりに気を取られ、危うく見失うところであった。
手にするまでの犠牲は大きかったが、青年は輝けるそれを自らの胸に収めることができた。
もうこれ以上、秘密が彼の心に揺るぎを与えることはないだろう。
その証拠に、使いから戻った途端、母と自分のただならぬ様子を案じる弟に対し、
臆することなく即興のおどけ芝居を打ったからだ。
「久しぶりに母上を独り占めしたくてね。お前が邪魔だったから、わざと使いに出したのさ」
思惑どおり、真に受けた弟が「心配して損した」と頬を膨らませたのは言うまでもない。
省28
930: 紡がれる愛 4/4 2014/09/16(火)22:53 ID:tIpaBg9U0(4/5) AAS
意外に苦戦したのが、縦長の帽子と背中へ袈裟懸けにした奇跡の剣。
慣れない重みに、青年は思わず身体の均衡を崩しそうになる。
気が付くと、肖像画の女王と鏡越しに目を合わせる形になっていた。
まるで自分のぶざまな姿を笑っているように見えたのは、単なる錯覚なのか。
気恥ずかしい面持ちで体勢を建て直し、鏡に映る肖像画の隣で直立する青年。
あの写真と同じ光景が再現されたような気がして、自然と彼の頬が緩んだ。
「“実母上”。近いうちに、私はお二人の子として“実父上”の遺髪を墓碑へ納めに参ります。
代わりにこの装束は形見としていただきますが…よろしいですよね?」
笑みを浮かべる肖像画の主は、我が子の懇願に沈黙をもって応えた。
省8
931(2): 2014/09/16(火)22:58 ID:tIpaBg9U0(5/5) AAS
以上です。細かい所で間違いをいくつか見つけましたが、お許しください。
かなり昔に「完全版を書くのでwikiに載せないでほしい」とお願いしてたかと思います。
ずっと気にはなっていたので、完成できてよかったと思います。
ありがとうございました。
932: 2014/09/16(火)23:02 ID:rYfQeKG40(1/10) AAS
679 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/06/30(月) 19:50:42.11 ID:kwAoLY3N0
>>678
知らねぇよボケ。じゃてめぇは同時に、このスレでは
同人界に慣れた人間は少数派だって証明できんのかよ!?
ちなみに俺は、同人界には立ち入ったこともないガチガチの2chねらー
(単なるクリアリ好き、実はドラクエはおろかRPG自体たいして好きじゃない)
だが、荒れてんのがお好みならそうするぞ?
933: 2014/09/16(火)23:06 ID:rYfQeKG40(2/10) AAS
2chだからといって、2chのやり方・雰囲気をゴリ押しする必要も
あ る ま い 。
仮 に 、
同人界に慣れた住民が多数を占めるスレであるなら、そのやり方を採用してもいい
ん じ ゃ な い の か ?
省4
934: 2014/09/16(火)23:09 ID:rYfQeKG40(3/10) AAS
695 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/06/30(月) 21:09:16.44 ID:BnqWbMqb0
ID:8d3tL3/O0は自ら小説版アンチの幼稚さを身をもって示してしまったな
935: 2014/09/16(火)23:10 ID:rYfQeKG40(4/10) AAS
703 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/06/30(月) 21:32:20.39 ID:kwAoLY3N0
>>695
アンチというより、「ここは2chだ」という意識が強すぎたんじゃないかと。
私は大規模off板にもよく行くんですが、
off板ってことはリアル社会に出ていく企画を扱う場所なわけですが、
そういう場所であっても、ひたすらに“2chの流儀”を貫こうとする奴が居たりしますからね。
あるいは、“2chの流儀でしかないもの”を“ネット世界全体の流儀”のように思ってるのも居たり。
まぁ、2chに対する思い入れの強すぎる者は、たまに居ますよ。
>>699
私自身は荒れてるのが好みだとは言ってないぞ?
936: 2014/09/16(火)23:13 ID:rYfQeKG40(5/10) AAS
>>678
知らねぇよボケ。じゃてめぇは同時に、このスレでは
同人界に慣れた人間は少数派だって証明できんのかよ!?
ちなみに俺は、同人界には立ち入ったこともないガチガチの2chねらー
(単なるクリアリ好き、実はドラクエはおろかRPG自体たいして好きじゃない)
だが、荒れてんのがお好みならそうするぞ?
937: 2014/09/16(火)23:17 ID:rYfQeKG40(6/10) AAS
>>699
私自身は荒れてるのが好みだとは言ってないぞ?
938: 2014/09/16(火)23:20 ID:rYfQeKG40(7/10) AAS
ちなみに俺は、同人界には立ち入ったこともないガチガチの2chねらー
(単なるクリアリ好き、実はドラクエはおろかRPG自体たいして好きじゃない)
だが、荒れてんのがお好みならそうするぞ?
939: 2014/09/16(火)23:23 ID:rYfQeKG40(8/10) AAS
ちなみに俺は、同人界には立ち入ったこともないガチガチの2chねらー
(単なるクリアリ好き、実はドラクエはおろかRPG自体たいして好きじゃない)
だが、荒れてんのがお好みならそうするぞ
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