[過去ログ] 【妄想】ショタ小説を書こう!【創作】 (761レス)
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398: 今夜、君の立つキッチンで・4 2008/12/25(木)09:51 ID:c2F4kb9w0(4/10) AAS
【 1−3 】

 それこそが――“マクスウェル家の呪い”それであった。

 あの事故は――そしてドレルの死は、かの虐殺兵器によって死んでいった者達の呪いとして、まことしやかにささやかれ
るようになったのだ。
 そしてそれを期に、マクスウェル家には様々な不幸が降りかかるようになる。
 祖父の死を始まりにその二年後。キトラの妹が病から息を引き取った。喘息から起こる呼吸停止によるショック死――
それが彼女の死因であった。まだ4歳であった。
 そしてそのさらに三年後――今度は父母が供だって他界した。晩餐会の帰り、道を踏み外した馬車が橋から転落する
という交通事故がその原因であった。
 相次ぐ家族の死は、益々もって“マクスウェル家の呪い”それを後ろ押す形となり、屋敷に勤めていた使用人達も
省15
399: 今夜、君の立つキッチンで・5 2008/12/25(木)09:53 ID:c2F4kb9w0(5/10) AAS
【 1−4 】

 葬儀の中での記憶は全くといっていいほど無い。ただ泣いていたように思う。
 泣いて泣いて泣きくれて――そんな逃避の酩酊からおぼろげに覚醒した時、キトラは己が一人ぼっちになったことを
受け入れた。もう泣くまいと誓った。これからは一人で生きていかなければならないのだと覚悟した。
 奇しくもそれは、マクスウェル家三代目当主キトラ・マクスウェルとしての誕生でもあった。
 ゆえに、台所で不意に感情が溢れそうになるのを察知してキトラは足早にそこを後にした。
 泣いてもしあの頃の自分に戻ってしまったのなら、もはや一人で生きていくことなど出来ないであろう。ただ衰弱
して、死を待つだけだ。
 一時期はそれも考えた。しかしそのつど思い出されるエドナとの思い出にキトラは踏みとどまった。ここで悲観に
くれて死を迎えるということは、自分を育ててくれたエドナへの侮辱となる。使用人達が我先に屋敷を出て行く中、
省12
400: 今夜、君の立つキッチンで・6 2008/12/25(木)09:57 ID:c2F4kb9w0(6/10) AAS
「メイドが、来たど――――ッッ!!」

 突如として玄関のドアが押し開かれたかと思うと、そんな叫び声がホールに響き渡った。
「えッ?」
 すでに階段の一段目に足をかけていたキトラは、その声に両肩を跳ね上がらせ振り返る。
 そこには――両腕を広げ、両開きのドアを開けたままの人影がひとつ。
「……誰?」
 瞳をしかめたまま、それを凝視するキトラ。ドアから差し込む朝日が逆光となって、その人影の主を確認することが
出来ない。
 やがてそんなキトラの声に応えるよう、
「おい、メイドが来たぞっ。これからは、オイラがキトラのメンドー見てやるからな!」
省6
401: 今夜、君の立つキッチンで・6 2008/12/25(木)09:58 ID:c2F4kb9w0(7/10) AAS
【 2−1 】 

 丘を越え、坂を滑り、道を駆け――少年・リッコはマクスウェル邸を目指し急いでいた。
 リッコは今、ある決意を胸に秘めていた。
 それこそは、マクスウェル家に赴き、そこの小さき当主・キトラと供に在ろうという決意。
 かのキトラはリッコにとって幼なじみであり、そしてかけがいのない親友であった。
 今より10年前――かのキトラ達・マクスウェル家は、ここシランの片田舎へと越してきた。
 目立った産業も工業もないそんな辺鄙な場所では、かの家族の登場は当時、大きな話題となった。
 もっとも話題になったのはやはり、当時まことしやかに囁かれていた、“大量虐殺に加担したマクスウェル家”の噂
それであった。
 現在も然ることながらあの頃の世情はまだ、お世辞にも落ち着いているとはいえなかった。連日戦争による死傷者の
省19
402: 今夜、君の立つキッチンで・8 2008/12/25(木)09:59 ID:c2F4kb9w0(8/10) AAS
【 2−2 】

 そもそも、使用人風情のリッコが無断で貴族の家の庭に入っていくこと事態、大変に無礼ではあるのだ。しかしリッコはまだ、
そんな分別もつかない子供であった。そしてまた、新しい友達の予感に踊る心を抑えられない、純粋な子供であったのだ。
 庭を抜け、その敷地の端にポツンと立った温室の中にリッコはキトラを見つけた。
 そうして何臆することなくリッコはその中へと入り――そんな自分の登場に驚くキトラと初めて対面を果たした。
 リッコ自体その時のことはあまり覚えていないのだが、当時を語るキトラは、『友達になろう』と手を伸ばしてくれたリッコの
姿がとても可愛かったと話してくれた。
 ともあれ、こうしてリッコとキトラは友達になった。
 それからというものリッコは毎日のようキトラの元を訪れては、野に山にと共に遊びまわった。
 面倒見が良くて優しいキトラは、いつもリッコの面倒を見てくれた。
省20
403: 今夜、君の立つキッチンで・9 2008/12/25(木)10:01 ID:c2F4kb9w0(9/10) AAS
【 2−3 】

 一族の事業に追われ、年に数度しか会うことのなかった両親以上に、彼女の存在は大きく、そして暖かいものであった。
 そんな彼女が亡くなった時の――あの時のキトラの姿は、今でも思い出すたびにリッコの胸を締め付ける。
 彼女の亡骸にすがり、泣き、取り乱し――しまいにはその悲しみのあまりに衰弱して、後の葬儀すらまともに出席できない
ありさまであった。
 その時だって、リッコも黙ってそれを見ていたわけではない。
 自分なりに彼を気遣いながら、その時もリッコはキトラへと声を掛けた。慰めた。それでキトラは落ち着くものだと思っていた。
いつものように。

 しかし――そんなリッコの声・想いなど、微塵としてその時のキトラに届くことはなかった。

 それどころか、そんなキトラにはリッコの存在さえ見えてはいなかったのだ。自分などそこにいないかのよう取り乱し、泣き暮れた
省16
404: 今夜、君の立つキッチンで・9 2008/12/25(木)10:02 ID:c2F4kb9w0(10/10) AAS
 キトラと供に在ろうという決意は自分だけのものだ。そんな自分勝手な理由から両親に迷惑は掛けられない。――だからこそリッコは、
二人に『親子の縁を切る』ことを継げた。
 そんな決心と明日の出発をつげる我が子に、一方の両親は何も言わなかった。そして今朝の出発にだって見送りにすら現れなかった。
 しかしリッコは、それを両親の愛だと理解した。
 もし『行くな』と言葉を掛けられたなら、リッコは今朝のよう決意も新たにここを出ることは叶わなかっただろう。
 両親の口から発せられるその言葉には、マクスウェル家に関わることで生じる“村での孤立”、そしてかの忌まわしき“呪い”に
触れようとしている我が子への不安――それらが込められている。
 父母からそれを聞けば、リッコは二人の身を案じ、罪悪感を抱いた旅路を余儀なくされたことだろう。そしてこれから立ち向かう
マクスウェル家の呪いに畏怖し、今後の自分の行く末に不安を抱いたことだろう。
 それを案じたからこそ、両親は“何も言わなかった”。
省20
405
(1): 2008/12/26(金)10:37 ID:0f4n32830(1) AAS
これ自分で書いてるの?
勝手に転載するのはまずいんじゃないの。
406: 今夜、君の立つキッチンで・11 2008/12/26(金)15:05 ID:WulT/dLB0(1/4) AAS
>>405
いちおう『本人』なので問題はないです(^^;)。どうか読んでいただければ……。

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【 3−1 】 

「――メイド? リッコが?」
 突然の申し出に、さすがのキトラも怪訝な表情を見せた。
 そんな彼の反応とは対照的に、
「おう♪ なんでも言ってよね」
 一方のリッコはというと、これ以上にない笑顔を見せる。
「で、でも――『メイドをやる』って言ったって、何をするのかリッコは分かってるの?」
省18
407: 今夜、君の立つキッチンで・12 2008/12/26(金)15:06 ID:WulT/dLB0(2/4) AAS
【 3−2 】

「父ちゃんと母ちゃんなら大丈夫だよ。オイラ、家出してきたんだし」
「――え?」
 返ってきたリッコの返事に、またもキトラは言葉を失う。
「そ……それはどういう意味なんだい?」
 そしてそれを問うキトラに対し、
「父ちゃん達にはメーワクかけられないからさ、だから『もう戻らない』って言って出てきたんだ。もう――オイラはあそこの家の子
じゃないから」
 リッコはどこかテレたよう返事(こた)えていた。
「なッ――――」
省18
408: 今夜、君の立つキッチンで・13 2008/12/26(金)15:08 ID:WulT/dLB0(3/4) AAS
【 3−3 】

「キトラの言いたいことは、みんな分かってる」
 そしてそのままで一言。
「キトラがオイラのこと心配して言ってくれてるのは嬉しいし、自分がバカなことをしているのだって分かってる。――でもね」
「……?」
「でもね――オイラ、やっぱりキトラのことが好きなんだ。もう、あんなに悲しむキトラは見たくないし、これからも悲しい思いなんか
させたくない。そう思ったから、オイラはここに来たんだ」
 リッコの言葉、そしてその想いに――怒らせていたキトラの両肩からも力が抜ける。
「一時の想いに駆られてこんなことしてるんじゃない――これからもずっとキトラの傍にいられるよう、オイラはここに来たんだ」
「ん……」
省11
409: 今夜、君の立つキッチンで・14 2008/12/26(金)15:09 ID:WulT/dLB0(4/4) AAS
【 3−4 】

「キトラぁ」
 そうして顔を上げ、今にも露の弾けそうな潤んだ瞳で見上げてくるリッコに――
「リッコ……」
 限界まで締め上げられキトラの胸は呼吸すら忘れさせる。
 そして締め付けられていた胸の中の何かが、完全に絞り千切れて弾けると同時――キトラは深くため息をついて、自嘲気な笑みをひとつ
口元に浮かべた。
「――わかったよ。『出て行け』だなんて言わない。君がそうしたいのなら、ここに残るといいよ」
 そうして諦めたよう頷くキトラへと、
「ッ―――、キトラぁ!」
省8
410: 2008/12/26(金)16:59 ID:7nXyoS0y0(1) AAS
チンコに毛が生えたよwまで読んだ
411: 今夜、君の立つキッチンで・15 2008/12/27(土)11:07 ID:xKsN2EBR0(1/13) AAS
【 4−1 】

 少し考えた結果、リッコにはエドナが使っていた部屋に入ってもらうことにした。
「うわー、ここがオイラの部屋?」
 一階の、キッチンにほどなく近いそこがエドナの――新しき住人・リッコの部屋であった。
 6畳ほどの部屋には、ドアの正面に窓がひとつ。そしてその両脇の壁面それぞれにベットと衣装ダンスがひとつずつ置かれただけの、
質素な造りとなっている。――このレイアウトはエドナの生前からまったく変わっていない。
 巨万の財を成すマクスウェル家の中においても、彼女は質素倹約を好(よし)とした。それは使用人としての美徳よりはむしろ、素朴で
飾らない彼女の性格が反映されてのことだろう。
 エドナの死後も、キトラは幾度となくこの部屋を訪れていた。当初は彼女の遺品を整理すべく目的で訪れたが、今も見た通り彼女の荷物は
少ないもので、むしろここで過ごす時間の大半はエドナの生前を追憶するばかりのものであった。
省18
412: 今夜、君の立つキッチンで・16 2008/12/27(土)11:08 ID:xKsN2EBR0(2/13) AAS
【 4−2 】

「じゃ、そこで待っててね。すぐ着替えるから」
 そう言って締められる寝室のドアを前にしながら、
「リッコ、張りきってるなぁ」
 思わずキトラもため息。
 と―――
「いや、そういう問題じゃないってば!」
 問題はそこではないことに気付いて、思わず自分自身にツッコミを入れるキトラ。
 そもそもリッコが女装をしてまでキトラに仕えることはない。否、むしろそれは、人としても、使用人としても“間違っている”ことなのだ。
「張り切っているリッコには悪いけど、ちゃんと言わなきゃなぁ」
省20
413: 今夜、君の立つキッチンで・17 2008/12/27(土)11:09 ID:xKsN2EBR0(3/13) AAS
【 4−3 】

「う、うん―――」
 そうして二・三度咳払いをして、思わぬ胸の高鳴りを抑えるキトラ。今日は我を忘れてばかりいる。
「ま、まぁ……似合うと思うよ」
「ホントっ? じゃあ、このカッコのままでいい?」
 尋ねてくるリッコに今さら『NO』とは言えなくなってしまった。
女装少年などけっして常識の範疇ではないだろうに――こともあろうかキトラは、いつまでもリッコにはそのままの姿でいて欲しいと思った。
「い、いいよ。――でも、村の人とか、お客様とかが来る時には着替えるんだよ?」
「うん、わかった。うははー、やったー♪」
 キトラの返事を受け、嬉しそうにその場でくるりと回ってみせるリッコ。
省19
414
(1): 2008/12/27(土)18:12 ID:4RvjiVsN0(1) AAS
ちゃんと読んでます
反応薄いのはここの特徴なので
気にせず頑張ってください
415
(1): 今夜、君の立つキッチンで・17 2008/12/27(土)20:26 ID:xKsN2EBR0(4/13) AAS
>>415
ありがとうございます! 頑張って続き行きます。

【 5−1 】

「ホコリっぽい!」――と鼻息も荒くリッコが最初にやりたいと申し出たのは、屋敷の掃除であった。
 その申し出にキトラも素直に頷く。
 思えばエドナが亡くなってからというもの、家事らしい家事など何ひとつしてはいなかった。否、『していない』というよりは、
『出来なかった』という方が正しい。
 いかにしっかり者とはいえ、そこは貴族――使用人達がするような家事のノウハウなど、キトラは微塵として持ち合わせてはいなかった。
 ゆえに、リッコの申し出は大変うれしいものだった。
 とりあえずはキッチンの裏――庭の隅にある納屋から掃除道具一式を取り出してリッコに与えた。
省17
416: 今夜、君の立つキッチンで・19 2008/12/27(土)20:27 ID:xKsN2EBR0(5/13) AAS
【 5−2 】

 現在キトラが当主を務めるマクスウェル家は、父と母が亡くなった3年前にそのほとんどの事業から手を引いていた。当たり前の話、
その当時10歳の子供に大小合わせて100を越える企業の経営など出来るはずもなく、一部商品の著作権所有を除き、工場を始めと
する物件や株式は全て売却してしまっていた。
 これによりキトラはすでに、一生を遊んでも使い切れないほどの財産を所有した。……こんなものなどいくらあったところで、大切な
人は一人として戻ってはこない――そう嫌悪感を持ちながらも、キトラはそれを現在の命の糧としていた。
 ともあれしかし、そんな身分のキトラとはいえども仕事はある。
 先にも述べた著作権の使用を許可する際には、その所持者であるキトラとの契約が必要となる。その為に必要な書類に目を通し、そして
それにサイン・捺印をすることが今のキトラの仕事であった。複雑な書類の作成は、あらかじめ雇いの弁護士や行政書士が作成してくれる
ので手間は無い。
省20
417: 今夜、君の立つキッチンで・20 2008/12/27(土)20:28 ID:xKsN2EBR0(6/13) AAS
【 5−3 】

 件の呪いのせいか、使用人達は次々とここを去り、家族は一人残らず天に召された――それは最後の家族であったエドナも然りだった。
 故にキトラは不安になるのだ。
 次にこの呪いの犠牲になるのは、リッコではないかと。
 キトラの脳裏に夏の陽を手にかざしたかのよう、リッコの面影がまばゆく浮かんでは消える。
『メイドにきた』と言ったリッコ――
 メイド衣装に袖を通したリッコ――
 太陽のような笑顔を向けてくれたリッコ―――
『ずっと自分の傍にいてくれる』と言ってくれたリッコ――
 それらリッコのイメージが忙(せわ)しなく脳裏に浮かんでは消え、そしてそれらが闇に飲まれると――
省19
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