[過去ログ] 【伝奇】東京ブリーチャーズ【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net (285レス)
1-

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
228: 御幸 乃恵瑠 ◆4fQkd8JTfc 2017/01/29(日)14:40 ID:GMTgkTY0(7/8) AAS
ノエルは少しも妖壊を攻撃するのを躊躇うことは無い。彼は何故か確信しているからだ。
《妖壊》が自分を滅した相手に最後に抱く感情、それは――
山よりも高く海よりも深い、感謝という言葉では言い表せない感謝だと。
全くもっておめでたい思考回路である。
布を纏った祈は、ハッカイの両足を人知を超えた蹴りで吹き飛ばす。
両足が無くなっても浮遊しているので動けないわけではないのだが、それでも機動力はかなり落ちたはずだ。
中学か高校ぐらいの物理の計算をすると祈のキックがどれほど凄いのかが具体的によく分かるのだが
ノエルに物質世界の学問の代表格である物理の理論なんて分かるはずもなく、単純に「祈ちゃんのキックは超凄い」と思っている。
その確固たる物理学の理論に裏付けされた超凄いキックに
ノエルの完全スピリチュアルワールドなよく分からない謎パワーが付与されているのだから、それはもう最強というものだ。
省18
229: 御幸 乃恵瑠 ◆4fQkd8JTfc 2017/01/29(日)14:44 ID:GMTgkTY0(8/8) AAS
「あれぇ〜? おっかしいなあ〜」

特に相手の見た目に大きな変化はない。しかし言葉とは裏腹に予想の範疇である。
霊的3D視が出来る者には分かるだろう、実は見た目以上に不可視の切り込みが刻まれ首の皮一枚で繋がっている状態。
あと一発衝撃を加えてやればバラバラに砕け散るかもしれない。
が、見た目にはよく分からない致命傷を与えられて怒ったのかもしれないハッカイにターゲットロックオンされてしまった。

「えっ、ちょ、ビジュアル的に無理! お断りします!」

体当たりを辛うじて避ける。相手の足があるままだったら余裕で死んでたな!
後衛が調子に乗って前に出てくると碌なことにならないのだ。

「たーすーけーてー!!」
省3
230: 2017/01/30(月)00:54 ID:ljciiA5V(1) AAS
間抜けにしか見えないっつーか
もっと分かりやすい文章書こうな
231: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE 2017/02/01(水)23:59 ID:YuWHVBN9(1) AAS
>「ああ良かった!ナチュラルにハブられた思いましたわ!」

「そいつぁすまねぇな。お詫びに、お前さんの葬式は俺の所で挙げてやるぜ。特別価格の2割引だ」

三人に護符を渡した尾弐は、ムジナの軽口と祈とノエルの礼に対して右手をヒラヒラと振って答えると、
そのまま歩を後ろに進めて壁に背を預ける。

――――と。
そんな鬼の元に、何か含みの有る笑みを讃えた那須野が近づいてきた。

「……ん? 那須野、どうした?」
省21
232: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE 2017/02/02(木)00:00 ID:/PrPsy7k(1/5) AAS
稲城市、某所。常であれば親子連れでにぎわうその商店街は、今や死地と化していた。
鳴り響く救急車両の甲高いサイレンと、血に塗れ倒れ伏した数多の女性の死体。
その死体に縋り付いて慟哭の声を上げる、伴侶と思わしき男性。
或いは、死という概念が理解出来ず死体と化した母親を必至に起こそうとする少年。
そして、その凄惨な光景を、掲げた携帯電話のカメラで修めようと躍起になっている野次馬達。
むせ返るような鉄と吐瀉物の臭いの中で繰り広げられるその情景は、正しく阿鼻叫喚。
此処は、地獄に在らずにして地獄で在った。

そして、そんな地獄の一丁目。
血の赤で染まった修羅の巷を奥へと進む、珍妙な集団がここに一つ。

時代がかった服を来た、正体不明の狐面。
省18
233: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE 2017/02/02(木)00:01 ID:/PrPsy7k(2/5) AAS
>「た……、た、助けて……。助けて……ください……」

尾弐達の進行方向の先に在る薬局の中から、フラフラと白衣を着込んだ女性が歩き出て来たのである。
やはり呪いに侵されており、その衣服は赤色で染まっているが……それでも女はまだ生きていた。

「ちっ……!」

けれど、尾弐がその女を助ける為に動く事は無かった。
むしろ小さく舌打ちをしてから右腕を横に伸ばし、一同に背中を見せて壁となり、
女の元へ寄る事を制止をしてみせたのである。

>「……この妖気!皆さん、来ますよ!」
>「あ……あ……、ああああああああ……!ひっ、ひぎっ……あぁ、ぎ……ぎゃあああああああああ―――ッ!!!」
>「祈ちゃん、見るな!!」
省18
234: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE 2017/02/02(木)00:01 ID:/PrPsy7k(3/5) AAS
「ったく、無茶しやがって……あいよ、了解だ大将」

尾弐は、那須野が無事にコトリバコの怪異を往なした事を確認すると、
その無茶な行動に対して苦々しい表情を浮かべたが……けれど、それを止める事はせずに、那須野の指示に対して是と答える。
それは、長い付き合いであるが故の、尾弐からの那須野への信頼であると言えよう。
頭脳労働担当である那須野が『囮となる事が出来る』と言った以上、それは可能な事なのだろうと、尾弐はそう判断したのである。

>「何考えてんだこのキツネ仮面がぁ! いきなり目立とうなんて思わなくていいから!」

だが、それはそれとして那須野の行動が無茶な事には変わりない。
尾弐が知る限り、彼の探偵は荒事向きではない為、ノエルが心配するのもまた当然と言えよう。

「そう思うなら、さっさとアレをどうにかしようぜ色男。
 目立つ間もなく凍らせて砕いてかき氷みたいにすりゃあ、那須野の出番も無くなるだろ」
省28
235: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE 2017/02/02(木)00:02 ID:/PrPsy7k(4/5) AAS
>オギャアアァアァアァアァアァァァァ……
>オォオォオォオオ……オ……オギャアアァアァァアァアアアア……!!!

>「ま……、まさか……!」
「おいおいおいおい、ちょっと待て。冗談だろ」

けれども、状況はここで悪化する。
コトリバコの怪物がその口腔から垂れ流す泣き声。それが、いつの間にか『増えて』いたのだ。
其れも、一つ弐つではない。
増えた泣き声は――――合わせて七つ。

>「あ、あれぇ〜?これは……死んだ、かなぁ……?」
>「てめぇら大増殖してんじゃねえ! せめて横一列か前後二列に並べ―――――ッ!!
省26
236: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE 2017/02/02(木)00:03 ID:/PrPsy7k(5/5) AAS
そんな祈を見て、尾弐は思う

(ああ――――弱くて、脆いな)

それは侮蔑でも罵倒でもない。尾弐という妖怪が抱いた、ただの感想である。
弱さを補う戦い方も、敵対している妖壊に抱く懺悔の心も、尾弐は持っていない。

弱さは強さで塗り潰す。
鬼という種族にはそれが出来る性能が有った。
妖壊に対する慈悲の心も無い。
例えどの様な理由があれ、殺人を犯した存在は許される事は無く、救われる必要も無く、
ただただ地獄の底まで落ち込むべきだと、尾弐はそう考えているからだ。

そうであるが故に、己の弱さを認め敵対者への憐憫の心を持つ祈は、尾弐にとっては脆弱な存在であり。
省29
237: 2017/02/05(日)21:41 ID:6xaCxAXX(1) AAS
ここが廃れたのは誰のせい?
238: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ 2017/02/07(火)21:54 ID:J3g7vBWU(1/11) AAS
品岡の施術、尾弐の護符、二段構えの呪詛対策はこれで完了した。
少なくとも今日のうちに祈がコトリバコの標的になることはあるまい。そう言い切るだけの信頼を彼ら同士が持っている。
ならば事態は巧遅よりも拙速、あとは出撃を待つばかり――

>「これ以上の対策は、はっきり言って蛇足でしょう。ボクも護符の類を考えましたが、クロオさんの刃物に勝るものは作れません」
>「それに何をしたところで無駄なときは無駄ですから。やられるときはやられます、なので『もうこれはアカン』と思ったら――」
>「皆さん、踊ってください」

橘音の提案した最後の対策、その突拍子もない言葉にブリーチャーズは異口同音に困惑した。
しかし橘音は都合4つの沈黙も意に介さず、大真面目に謎ステップを踏んで追従するよう促してくる。
アキレス腱がよく伸ばせそうな足の動きは一見珍妙のようで、軽やかに踏み切れば確かに舞踊と言えなくもない。

>「わかりました?んじゃ、全員でやってみましょうか。はい、クロオさんもムジナさんも恥ずかしがらないで〜」
省30
239: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ 2017/02/07(火)21:55 ID:J3g7vBWU(2/11) AAS
直近の被災現場、東京都稲城市はまさに震源地の如き地獄絵図を展開していた。
各所を封鎖する黄色いテープ、ひっきりなしに往復する救急車と警察車両、倒れた母を呼ぶ子供の鳴き声――
安全帽にサージカルマスク姿でカメラを抱えるマスコミが、路肩の野次馬に矢継ぎ早に質問を投げかけている。
道中で確認したSNSでは、現場の惨状が加速度的に広められており、早いものはYoutubeにすら動画が上がっていた。

>「こいつぁヤベェな……商店街一帯、呪詛まみれじゃねぇか。まるで黄泉比良坂だ」

血反吐と吐瀉物にまみれたアスファルトを踏み締め人の海の中を行く、五人の男女達。
妖狐、ターボババァ(孫)、雪女(男)、鬼、のっぺらぼう(元)のオカルトリカル・パレード。
橘音の幻術によって警察の案内を受けるブリーチャーズに、野次馬達のカメラは集中する。

「おうおう!なに撮っとんねや!見せモンちゃうぞゴラアアアア!!」

最後尾に引っ付いていたいかにもヤクザな人相の悪い男が唾を散らしながら野次馬たちに食って掛かる。
省31
240: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ 2017/02/07(火)21:55 ID:J3g7vBWU(3/11) AAS
橘音の声に足を止めた祈を、ノエルが素早く抱き寄せる。
彼らの足元数メートルの位置までの地面が赤黒い死の色に濡れた。

「"中"になんか居るで!」

破裂の勢いか、はたまた自ら跳躍したのか――原型を留めぬ亡骸のかたわらに、一つの小箱が落ちた。
複雑な木目で織られたそれは、寄木細工と呼ばれる工芸品だ。
一見してただの薄汚い小箱であるが、頬を叩くような圧力を伴う凄まじい妖気がそこから放たれていた。

>「付喪神化していますね」

「あれが鞍馬山からパクられたっちゅうコトリバコの本体でっか……!」
省33
241: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ 2017/02/07(火)21:56 ID:J3g7vBWU(4/11) AAS
>「ボクが囮になります!皆さん、コトリバコに総攻撃!まずは『ケ枯れ』させましょう!」

橘音はそう皆に指示した。囮。つまり彼はコトリバコの攻撃が自分に向くと認識している。
攻撃される理由に、心当たりがあるのだ。

(ようそんなんで嬢ちゃんに駄目出ししたなぁ。自分が一番危険やって分かっとるんやないか)

橘音の――彼か、彼女か――その秘された覚悟をおぼろげに感じ取って、品岡は内心で苦笑した。
そしてそれだけだ。何も変わらない。そんなことは、妖怪にとっては、どうだっていいのだ。

「しゃあ!これだけ膳が揃ったんや。そろそろ品岡おじさんのカッコ良いとこ見せたらんとな。
 荒事はヤクザの専売特許ってこと、教えたるわい」
省32
242: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ 2017/02/07(火)21:56 ID:J3g7vBWU(5/11) AAS
巨大な頭部に棘を突き刺していた品岡はその動きにハンマーごと振り下ろされ、アスファルトに墜落する。
受け身をとって転がりながら衝撃を吸収すると、その上から緑色の液体が降ってきた。

「ひえっ……」

咄嗟に後ろへ跳躍し、なんとか引っ被ることは避けられた。
そしてそれがとてつもなく幸運だったことに、溶かされていくアスファルトを見て痛感した。

「迂闊に殴りゃしっぺ返しが来るってことかいな……」

化学耐性の高い舗装材であるアスファルトがああも容易く溶けるほどの強酸。
酸というよりも『溶かす』という呪詛に近い。それもとびきり強烈な。
おそらくは、臓器を溶解させるコトリバコ本来の呪いを戦闘用に改造して使っているのだ。
悠長に分析している暇はない。コトリバコはその粘液を、あろうことか自らの口から吐き出してきた。
省28
243: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ 2017/02/07(火)21:57 ID:J3g7vBWU(6/11) AAS
>「ま……、まさか……!」
>「そのまさかみたいだね……!」
>「おいおいおいおい、ちょっと待て。冗談だろ」

「あかんやろ……反則ちゃうんかそんなん……」

戦場となった薬局周辺に集うようにして現れたのは、新手のコトリバコ――7体。
交戦中のハッカイと合わせて計8体のコトリバコ、イッポウからハッカイまでご丁寧に全種類が勢揃いだ。

>「てめぇら大増殖してんじゃねえ! せめて横一列か前後二列に並べ―――――ッ!!
 敵が8体も好き勝手に動き回ったら処理落ちするから!」

「もっと良いグラボを買えええーーーっ!!」
省27
244: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ 2017/02/07(火)21:57 ID:J3g7vBWU(7/11) AAS
しかし祈はお花摘みに中座したわけではないらしい。
それが証拠に彼女が身体や手足をぐるぐる巻きにしている白い物体はトイレットペーパーではなく分厚い布だ。
同じものの予備も持ってきたらしき祈は布の山を地面に置く。

「……戦えるんやな、嬢ちゃん」

品岡は糾弾をやめて静かにそう言った。
少女は答えない。応答は、言葉ではなく姿勢で示した。
祈の姿が再び消える。風が巻き、再び彼女が出現したのはハッカイの真後ろだった。
その俊足で敵の後ろに回り込んだのだ。

>「……ごめんな」

祈はハッカイの後ろで何事かをつぶやき、その足元に蹴りを入れた。
省30
245: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ 2017/02/07(火)21:58 ID:J3g7vBWU(8/11) AAS
>「えっ、ちょ、ビジュアル的に無理! お断りします!」

「何言っとるんやあいつ……」

こんな時にも発動するあれはもはや「ノエル」という名の状態異常かもしれない。
脚を失ったハッカイが身をよじらせてタックルを仕掛ける。ノエルはそれを危なげなく退避した。
身体をささえられないハッカイは地面を滑り、その衝撃で右の豪腕が外れて転がった。

「通っとったんか、刃が!」

ノエルの斬撃線と同じ部位が切り離されている。
皮一枚を断ったと見えて、その実皮一枚を残して他を断っていたのだ。
げに恐るべきはその刃の冴え、雪女の妖力は伊達ではない。
省29
246: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ 2017/02/07(火)21:59 ID:J3g7vBWU(9/11) AAS
「なるほど確かにクソガキの癇癪から他の子供を守ってやるのも……大人の役目ですな」

尾弐と品岡は東京ブリーチャーズにおける『大人』……実年齢ではなく立ち回りとしての大人という立場だ。
無論そこには荒事担当というポジショニングの理由も含まれているが、それだけではないと品岡は思う。思いたい。
たとえ盃を交わしていなくとも、一方的に慕っているだけだとしても。
尾弐と品岡は義兄弟だ。――兄貴分の信頼には、応えるのが舎弟の身上だ。

「ほな、兄貴が三匹引き受けてくるっちゅうさかい……ワシは二匹ばかし相手にしようかね」

懐から煙草を取り出し、片手で火を点ける。
肺一杯に煙を吸い込んで吐き出した彼の眼前には、二体のコトリバコが凍結から復帰し動き始めていた。
牛程度の大きさの『イッポウ』とライトバンほどの『ロッポウ』。
イッポウはコトリバコの中においては最下位だが、それでも複数人を容易く殺める呪詛を持っている。
省33
247: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ 2017/02/07(火)22:00 ID:J3g7vBWU(10/11) AAS
――――ッ!!

頭部を棘つきスレッジハンマーで痛打されたロッポウは、しかし頑丈な頚部によって仰け反ることはなかった。
炎上していたイッポウも地面を転がって火を消し、こちらへ飛び掛かってきている。
前方と背後、挟み撃ちの形になり品岡に逃げ場はない。
果たして、二つの巨大質量の激突は品岡をペシャンコに潰す……ことはなかった。
品岡の周囲に紫電が走り、イッポウとロッポウは見えない壁に阻まれた。

「流石橘音の坊っちゃん、よう効きよるわ」

――禹歩による簡易結界。
だが踏ん張りが必要なハンマーを振るっていた品岡に軽いステップを刻む余裕などあるはずもない。
靴の中。脚の全ての指を形状変化で足そのものに変え、禹歩を刻ませた。
省30
1-
あと 38 レスあります
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 0.018s