[過去ログ] 【腐女子カプ厨】巨雑6438【なんでもあり】 [無断転載禁止]©2ch.net (651レス)
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600: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:05 d AAS
いっそ嫌いになれれば楽になれるのにそれすらできず。
ただ、心臓がズキズキ痛み、その痛みで意識を保っていた。
最後の撮影は海浜公園で行われた。
リヴァイからの指示はなく、公園の中を自由に回っていればいいとのことだったので、好き勝手に動くことにする。
最初はこれでいいのかという戸惑いが強かったけれど、一時間もそれを続けていれば戸惑いも吹っ切れて一人の散歩を楽しむようになる。
数時間、一応カメラを気にしてゆっくりとした動きで公園内をぐるぐる回り、最終的にたどり着いたのは浜辺だった。
今日もまた晴天で風もなく、穏やかに波を打つ海が広がっている。
海水浴の季節にはまだ早いので人もあまりいない。
「すっげーきれい!」
元々海が好きだった。
省14
601: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:05 d AAS
このタイミングで思いっきり笑顔でカメラを見たらきっと驚くに違いない。両手をパンパンと合わせて簡単に砂を落とした。
そのままぐるん! となんの予告もなく、上半身を回して、横から写真と撮っていたリヴァイに向けて全開の笑顔を見せた。
カシャカシャカシャカシャカシャ……
何度もシャッター音が聞こえてきて、仕掛けたのは自分だったけれどそんなに撮られると恥ずかしくなる。
「そんなに撮らないでくださいよー!」
カメラに両手の平を突き出して顔との間に遮りを持たせると、ようやくシャッター音が止まる。
リヴァイの手からカメラが離れ、ネックホルダーにぶら下がって胸のあたりでぷらぷら揺れていた。
「どうしたんですか?」
自然体の写真を撮りたかったのに、カメラ目線なんかしたから気に障ったのだろうか。でもそれならそれで注意されるはずだし、そもそもシャッターはあんなに切られることはない。
「お前……っ、その顔は反則だろ……」
省7
602: (ワッチョイ 53a2-G+K4) 2016/04/06(水)14:06 0 AAS
あれ嘘バレなんかなやっぱり
話が進んでないからちょっと本バレっぽさもあるけど長瀬が気絶から覚めて家を投げるってのも唐突すぎる気がするし
603: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:06 d AAS
その言葉にエレンがはっと息を飲んでいる間に、少し離れた場所にいるスタッフに告げれば、スタッフからは歓声がわき上がる。
口々に「お疲れさまです!」と言い、拍手が起きた。
なんとも呆気ない終わり方だった。
そうは思ってもリヴァイが終わりだと言えば撮影は終わりで、同時にエレンの役目も終わってしまう。
その後、リヴァイは簡単なデータの確認、他のスタッフは機材の後片づけをしてから、都合のつく者全員で簡単に打ち上げに行くことになっている。
先にそのことを聞かされていたエレンも参加する予定だった。
ちなみに本打ち上げはまた後日あり、今日は一旦のお疲れ会といったところらしい。
普段ならばやることがないエレンは先に帰宅となるも今日は暇を潰さなければならない。
砂で汚れた手足を洗い、汗ふきシートで体を拭くとスッキリした。
車には着替えも準備してあるので、スタッフに鍵を借りて空いた時間の内に着替えてしまう。大きなワゴン車で窓にはカーテンがかかっていた。
省14
604: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:06 d AAS
「おおー、めちゃくちゃいいね。モデル、エレンで大正解!」
「そうだな。あいつが引き受けてくれてよかった」
外から聞こえてくる会話にエレンは嬉しくなった。
リヴァイがエレンをモデルにして良かったと他者と話している。彼らはエレンがここにいることを知らない。つまり、これは本音だ。
頑張って良かった。
この言葉を聞けただけで満足できる。自然と口元に笑みが浮かんだ。傷つきすぎた心臓に鎮痛剤が打たれた。
「わたしのアドバイス通りにして良かったよね」
「…………」
「なにその間は。エレンが引き受けてくれたのってわたしのお陰じゃん!」
「……まあ、そうなんだが」
省21
605: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:06 d AAS
好かれようと努力したことも。
付き合うことになった時の喜びも。
なにも、なにも。リヴァイは感じていなかった。思っていなかった。
全てエレンの一方通行で、全てエレンだけが感じ、望んだことだった。
それが分かってしまえば全てが簡単に繋がるのだから笑えない。
最初から、この想いが叶うはずなかった。
それならば尚更、距離を取ったことはいい判断だったんだ。
あれ以上近づいていたら、嫌いにランクダウンしてしまっていたかもしれない。
(……馬鹿みたいだ、)
リヴァイの言葉を信じた自分も。エレンに告白されて後に引けずに我慢して付き合っていたリヴァイも。
省21
606: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:06 d AAS
「先生さようならー!!」
「おう、また明日な!!」
勢いよく手を振る少女に向かってエレンも同じように大げさに両手を上げて手を振った。その隣にいる母親は笑いながらエレンに向かって頭を下げている。
彼女は母親にしてはまだ若かった。エレンと同じ年代だと聞いたことがある。
自分ももしも早く結婚をしていればあれくらいの年代の子供がいたのだろうか。
子供の手を引いて帰っていく親の姿を見るたびにエレンはそう考えていた。
シガンシナ地区にある小さな保育所がエレンの勤務先だった。
住宅街の傍にあるこの保育所に預けられるのは先ほどの母親のように両親が共働きをしている家庭や母子、または父子家庭の子供も多い。
あまり各家庭の事情を詮索するつもりはないし、エレンとしては子供と触れ合えればそれでよかった。
昔から子供が好きだったから今の職業は天職だと彼自身は思っている。
省11
607: (ワッチョイ 53a2-G+K4) 2016/04/06(水)14:07 0 AAS
まさか地下室来年とかなダハハ
ループしてるのはわいらやねん
608: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:07 d AAS
スピードをつけたおかげで抱き着くというよりは彼女の突進を身体で受け止め、思わずよろめいてしまう。
「こら走るなよ。危ないだろ?」
「だってエレンが呼んだから」
「エレンじゃなくて先生って言いなさい。ったく」
そうは言いながらもエレンは笑いながらミカサを抱きあげた。
そして慣れた様子で彼女を抱き上げると、先ほどまでミカサが遊んでいた場所まで連れて戻る。
ミカサは毎日最後まで残る園児だった。彼女の父親は毎日迎えが遅く保育所が閉まるぎりぎりの時間にならないといつも迎えに来ない。
駅からここまで走って来る時もあるらしく、冬でも額に汗を浮かべて迎えに来ることもあった。
すまないと頭を下げる彼のことをエレンも他の保育士も迷惑だとは思ってはいなかった。
詳しくは知らないが父親と母親は彼女がこの保育所に預けられる前に離婚をしてしまったのだと聞いている。
省17
609: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:07 d AAS
ため息をつきながらエレンはミカサが組み立てた積み木の上に最後のひとつを乗せる。
三角形の積み木を乗せれば家のような形が出来上がった。
ミカサはその周りに小さなぬいぐるみを並べる。どうやら積み木の建物が彼らの家らしい。
「どれがお父さん?」
「クマさん。それでウサギさんがお母さん」
並べたぬいぐるみを一つひとつ指さしながらミカサはエレンに家族たちを紹介していく。
それを眺めながらエレンはミカサに相槌を打っていた。
「ワンちゃんがお兄ちゃんでネコちゃんが妹」
「そうか、たくさんいるな」
「うん、みんなが寂しくないように。家族は沢山いたほうがいいから」
省9
610: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:07 d AAS
「……エレン?」
先ほどよりも強く、きつく抱きしめる彼の腕にミカサは困惑を示す。
はっ、と我に返りエレンは慌てて腕の力を緩めた。
身体を離すことはなく、腕の中にミカサを閉じ込めたままエレンは彼女の顔を覗き込む。
「そうだよな、こうやっていれば寂しくなんてないもんな」
やはりミカサだけはエレンにとって特別だった。
どうしても構ってやりたくなってしまうし、他人事として見られない。
出来ればずっと傍にいてやりたいと思う。
この保育所から巣立った後も、自分がもしもこの子と一緒に暮らせればきっと寂しい想いなんてさせない。
彼女とこうして迎えが来るまでの時間を二人きりで過ごしている間、何度もそういった想いが過っている。
省8
611: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:07 d AAS
がらっ、と扉が開く音がする。
エレンとミカサ、二人揃ってそちらのほうを見やれば一人の男がそこに立っていた。
今日は額には汗は浮かんではいない。チェックのマフラーを巻きグレーのスーツを着た男は彼らの姿を見て鋭い瞳をほんの少し和らげた。
どきり、と心臓が大きく高鳴った。ミカサよりも彼のほうへと視線が釘付けになり、外せなくなってしまう。
穏やかに見つめる視線は自分に向けられたものじゃないことは知っている。
それでも今は勘違いもしてしまいそうになる。
いや、実際してしまっていた。彼がそんな眼差しで自分を見つめているものだと思うと胸がさらに苦しくなる。
「お父さん」
ミカサは彼に向かってそう叫ぶ。その声にエレンは現実に引き戻された。
気付いた時にはミカサはぬいぐるみを手放していた。
省14
612: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:08 d AAS
エレンがいつも最後まで残ってミカサの相手をしていることはリヴァイも知っていた。
この時間帯に残っているのは大抵エレンしかいない。
はじめはあまり話すこともなかったが、機会が増えれば自然と会話も増える。
しかもエレンは女性ではなく男性だったから余計に距離も縮まったのかもしれない。
子供を放っておいて仕事に行くなんて、という女性からの視点ではなく同じ男性として同情をしてくれるエレンにリヴァイはいくらか救われているのだというは話をリヴァイ本人から直接聞いたこともあった。
付き合いが深くなれば連絡先も交換をするし、対応に関しても贔屓とまではいかないが少し甘くもなってしまう。
リヴァイは仕事が終わってから急いで保育所までやって来てはくれるが、それでも最終の預かりの時間を過ぎてしまうことも何度かあった。
そういった時もエレンは文句も言わずにミカサの相手をしている。
事前にリヴァイから連絡を貰えば彼女と一緒に夕飯まで食べることさえもたまにあった。
本当は公私混同なんてしてはいけないことなのだが、エレンはリヴァイに対して甘かった。彼だけは特別だ。
省15
613: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:08 d AAS
同時に抱くのはやはりミカサに対しての罪悪感だった。
彼女の父親のことを父親として見ることをしていない。
一人の男として意識をしている。
その為にミカサのことも多少なりとも利用していた。
悪いとも思うしいけないことだともちろん自覚はしている。
でもそれを止められない自分がいることもまた事実だ。人として最悪だ、エレンは彼らの姿を見送る度に自分を蔑んだ。
幼いミカサは恐らく気付いてはいないはずだ。
エレンが自分の父親のリヴァイに恋情を抱いていることを、まだ彼女は知らない。
エレンはゲイだ。
いつから、という明確な時期はない。
省11
614: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:08 d AAS
むしろさらに愛おしいと思う。友人たちが可愛い女性に欲情するように、エレンも好きになった男に同じように欲情をした。その頃辺りからだろうか。
周囲のことをそれほど気にすることがなくなったのは。さすがに自分の性癖を簡単に打ち明けることは出来なかったが、昔よりはまだマシだ。
自分は男が好きだ。男しか好きになれないとはっきりと受け入れてしまうとこれまで悩んでいたことが少し馬鹿らしくも思えた。
だからエレンは生まれてから一度も女性を抱いたことはない。
これから先も間違ってもそんな気は起らない。だから結婚もしないし子供を授かることもないだろう。
両親には申し訳ないと思うが自分の気持ちも変えられない。
でも子供は好きだったからなるべく彼らと接することが出来る職業に就きたいと思った。
そしてエレンは保育士を志し晴れてその夢を叶えることが出来て今に至っている。
やりがいのある仕事だし飽きも来ない。そして何よりも子供たちと過ごす毎日は楽しく、自分が後ろめたさを感じながら生きていることを忘れさせてくれた。
ちょうど社会人になってから恋人とは上手くいかないようになっていた。新しい恋人が出来て短い付き合いばかりだ。
省12
615: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:08 d AAS
「おはよう、エレン」
「だからエレン先生だって。あと『おはよう』じゃなくて『おはようございます』だろ?ほら、ちゃんと言って」
昨日は許してくれたが今朝はそうはいかなかった。
ちゃんと言えるまでここを通さないと仁王立ちをして立ちふさがる。
腕を組んでわざと怖い顔をするエレンに、さすがのミカサも怖気づいてしまう。
「う」と声を漏らして思わずリヴァイの手を強く握った。
「どうしよう」とリヴァイに助けを求めたが彼もエレンと同じような顔をしていた。
残念ながらミカサを助けることはなくただ首を振るだけだ。
「おはようございます。エレン、先生。」
「よし、えらいぞ。よく出来ました」
省18
616: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:09 d AAS
今朝のリヴァイは黒いコートを羽織っていた。
それと同色の手袋をしながらミカサと同じようにマフラーに顔を埋めている。恐らくミカサもああやって寒さをしのいでいたのは、リヴァイの格好を真似ているからだろう。
親子で似た仕草をしている彼らを微笑ましく思い口元が緩んでしまう。
「偉いのはお前のほうだろう。よくもまあチビをあんな簡単に手なずけるな」
リヴァイは感心した様子で息をつく。吐き出した吐息は白くふわりと舞った。
「それが仕事ですから。でもミカサはすごく楽なほうですよ。ちゃんと良い子にしてくれますから」
「……そうか、ならよかった」
ほっ、としたのだろう。瞬間、表情を綻ばせたリヴァイにエレンは目ざとく気が付いてしまった。
「あ、」と思った時にはもう遅かった。彼の表情から目を離すことが出来なくなってしまう。
省6
617: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:09 d AAS
今朝のリヴァイは黒いコートを羽織っていた。
それと同色の手袋をしながらミカサと同じようにマフラーに顔を埋めている。
恐らくミカサもああやって寒さをしのいでいたのは、リヴァイの格好を真似ているからだろう。
親子で似た仕草をしている彼らを微笑ましく思い口元が緩んでしまう。
「偉いのはお前のほうだろう。よくもまあチビをあんな簡単に手なずけるな」
リヴァイは感心した様子で息をつく。吐き出した吐息は白くふわりと舞った。
「それが仕事ですから。でもミカサはすごく楽なほうですよ。ちゃんと良い子にしてくれますから」
「……そうか、ならよかった」
ほっ、としたのだろう。
瞬間、表情を綻ばせたリヴァイにエレンは目ざとく気が付いてしまった。
省9
618: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:09 d AAS
そして何を思ったのか、リヴァイは唐突にエレンへ向けて手を伸ばしてきた。
手袋をしたままの黒い手がずい、と急に近づいてくる。
「うわっ、」
思わずエレンは声をあげて目を閉じる。殴られる、と咄嗟に身構えたがそんなことはなかった。
むしろ感じられたのは柔らかくて温かな感触だった。但し布越しではあったが。
しかしリヴァイの手のひらの温もりであったり、ある程度の感触はなんとなくそれでも伝わってくる。
エレンの前髪を少しあげてリヴァイは彼の額に自分の手を置いていた。
「熱があるってわけでもないみたいだな」
「あ、ありませんよ、そんなの!!」
少し声を荒げながらリヴァイの手をエレンは振り払った。
省9
619: (スプッ Sd9f-G+K4) 2016/04/06(水)14:09 d AAS
「そりゃあミカサは寂しがるでしょうね。オレによく懐いていますから」
「まあ、そうだな。あいつもそう思うだろうしそれに俺も寂しいと思うんだがな」
ほら、そうやってまた好き勝手に振り回して。
こちらがどんな気持ちを抱いているかなんて知らない癖に。
毎晩貴方のことを思ってベッドに寝転がった後に、どんなことをしているかなんてことも、全部、全部知らない癖によくもまあそういうことを言うものだ。
呆れるところではあるが、リヴァイを手前にした以上浮かび上がっている感情はやはり彼への好意とこれからの関係の期待だった。
しかしいずれの感情にせよ、愛情は結ばれることはないし関係が発展しないことなんて目に見えて分かっているのだが。
「冗談言わないで下さいよ。オレに会わなかったら寂しいだなんて」
本気にしてしまいたくない。
いちいち真に捉えていたら自分の身も心も持たないなんてことはよく分かっている。
省10
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