SSスレ(エログロ) (727レス)
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41: ◆aP0ZjXi03Y 2005/12/16(金)21:34 ID:9g3ToJno(5/7) AAS
すぐさま巨大な頭部が水面を突き破った。
鰓から、くちから、飲み込んだ水が大量に流れ出している。最大級の咆哮を上げて、鯨の潮吹きのように霧を吹く。
「呼吸器が乾燥したんで、水に潜って、息継ぎしていた、だけ?」
水棲超虫がしいなを向いた。
こんどはくちをすぼめるように、釣鐘状に開いた頭部を尖らせて、内部の視覚器官は同心円の虹状に色を変えている。
咆哮した。
無数の目と同じく様々な色に発光する光球が、展開した頭部の内側に、多数、出現した。
空間に規則正しく配置され、三次元のきれいな虹模様を描いている。状況が違えば美しいとも思ったろう。
「あれは、目と同じ色の光球を制御するのか? 多数の目標に同時に撃てるのか!?」
川の流心にまで後退した水棲超虫には、たとえ弾が残っていても能力を妨害する燃焼ガスは届くまい。
省18
42: ◆aP0ZjXi03Y 2005/12/16(金)21:35 ID:9g3ToJno(6/7) AAS
息が荒い。吸うと吐くの順番が乱れて喉が詰まる。
「あうっ、あっ、はうっ、くっ、ぅん」
無茶な無酸素運動で脳に酸素が足りず、びくびくと体をひきつらせるように失神した。
酷使した足の痙攣はやがて治まり、汗を流して苦悶する顔は安らぎ、静かな、苦痛を忘れた少女の顔になった。
水棲超虫は目標を喪失しても七秒は次の行動に移らない。
状況の認識に二秒、発現していた能力の停止に最低五秒。
巨体は振り向かず、尾部の分岐体投射器官を水面から出して展開する。
分離前の噴進トンボの頭部が露出し、複眼に、去って行く少女の姿を映している。
二回の光弾攻撃から逃れた相手に、これまで最大数の十六体の噴進トンボを分離した。
急加速で飛翔する十六体の噴進トンボは、途中で転び草に隠れて動かなくなったしいなに気づかない。
省11
43: 流血衛星◆aP0ZjXi03Y 2005/12/16(金)21:37 ID:9g3ToJno(7/7) AAS
しいなが意識を取り戻した時、視界は闇におおわれていた。
こわばる体の節々が不快で身じろぎすると、全身が、冷たく軽く柔らかいもので包まれていることに気づいた。
「なんで、ここは、草の中? 生きてる? でも、目が」
目をこすろうとして、両手がいまだ銃と背嚢をしっかり握っていることに気づいた。
手探りで救急品入れのアルミ水密容器を探り、携帯電話を取り出し電源を入れた。
起動音とともに液晶のバックライトが光り手元を照らす。
しいなはつる草の中にいた。
「よかったあ、目も耳も回復してる。銃も荷物もなくなっていない」
手に傷があったが、すでにかさぶたでふさがっていた。体じゅうにあざができていたが、関節に動かないところはない。
足の裏も痛みを訴えていたが、裂傷もまめもできていなかった。いたわるように足をさすりながらつぶやく。
省14
44: 2005/12/22(木)00:45 ID:kFtOpLH2(1) AAS
乙。
とりあえずエロもグロもいまいち感じられぬが、面白い作品ですね。
スレタイで損してる様な気がw
45: 流血衛星◆aP0ZjXi03Y 2006/01/19(木)20:56 ID:Wi2t5R9.(1/8) AAS
「ひっ、はひっ、ここが、衛星だったんだ。超虫は有機溶媒の海に生まれた生物で、だから、地球生まれのおれを殺したがっていたんだ」
遠い遠い所へ来たのだと、腹の底から凍えるような虚無感が、寄る辺をなくしたしいなをさいなむ。
引きつる声で笑う少女から力が抜けた。その場に尻からへたり込み、夜空を見る目がどんどん潤んで、ついには涙をぽろぽろこぼす。
顔をくしゃくしゃにして号泣し、天など見たくないと伏せた目が小銃を見つけた。
泣き腫らした顔が激情に歪み、すばやく小銃をひろい上げ、コッキングレバーに手をかける。
排莢口はすでに開いて、空の薬室と弾倉を覗かせていた。
じょじょにしゃくりあげの発作が治まり、少女は深く息を吸って呼吸を落ち着け、思い出したように鼻をすすった。
再び天を見上げた目が力強く木星型惑星をにらみつける。への字に結んだくちからつぶやいた。
「これで撃っても死ねないか」
ひとつの運試しが、しいなに生きる道を選択させた。
省9
46: 流血衛星◆aP0ZjXi03Y 2006/01/19(木)20:58 ID:Wi2t5R9.(2/8) AAS
灰まみれの肌をなめてみるが、酸味もアルカリの鹹味もない。害のない中性鉱物だ。
「偽装にはちょうどいい。夜でも寒くもないんだ、二枚しかない服は高山を登る時まで温存したほうがいいかなあ」
ふたたび耳をすまし、今度は目も使ってあたりを観察する。
昼間に下草を踏みわけると飛び出してきた、カゲロウに似た細ろげな羽虫が、夜になってそこかしこで宙を舞い、惑星光に照らされ光っている。
近くを舞う一匹にふうっと息を吹きつけたが、特に反応しない。しいなに敵意をもたない生き物もいる。
少女の小指に隠れてしまうほどの小さな生き物は、四枚の糸羽を鞭毛のように羽ばたかせ、らせんを描いて夜空へ昇っていく。
サボテン木のこずえのさらに上方に、羽虫の群れが川のような流れを作って、あたりから飛び出す白いものが次々に合流していた。
しいなは羽虫たちを見送り、目は笑いながらも肩を落としてつぶやいた。
「仲間がたくさんいるんだ。いいなあ。繁殖でもするのかなあ」
羽虫たちの輪舞のはるか向こう、黒々と深い宇宙に意識が吸い寄せられた。表情を引き締める。
省10
47: 流血衛星◆aP0ZjXi03Y 2006/01/19(木)20:59 ID:Wi2t5R9.(3/8) AAS
だがスイッチは切られていた。
マルチプライヤーで分解して携帯電話のライトで照らすと、過電流でも流れたか基盤の何カ所かが焼き切れている。
太陽電池からの配線の一部も蒸発していた。
「あの爆発のせいか? アルミ容器でシールドしていた携帯電話は無事のようだけど」
蓄電池のコネクタを抜いて、プライヤーの金属部分で電源のコンデンサを放電させたが、しばらくすると光が戻った。
どこからか電力が供給されている。
理解できない現象にまゆをしかめた顔が夜空を見上げ、再びガス惑星が目にはいった。
頭上の大天体には縞模様の他に大きな紫色の斑点があって、初めて見た場所から移動している。かなりの高速で自転しているようだ。
さらに、南北の極に、赤い冠のような発光を見つけた。
「オーロラだ。強い磁場が荷電粒子を集めてる。もしかして、あの星が出す電磁波が回路に共振して電力を発生させたのか?」
省12
48: 流血衛星◆aP0ZjXi03Y 2006/01/19(木)21:00 ID:Wi2t5R9.(4/8) AAS
「けっ、けだものぉ!?」
意表を突かれたしいなは手と目線をひらひらさせてうろたえる。
けだものどもは次々に食事を止めて、視野の広い頭部側面にある目ではなく、ひゅうひゅうと空気を吸う鼻先の二穴をしいなに向ける。
奥に気化冷却される感熱器官があって、しいなを、皮膚表面は冷えていてもくちなど体の開口部は高温の恒温動物だと認識した。
褐色の群れからヒューンとターボエンジンが吹き上がるようなかん高い鳴声が上がって、けだものどもは散り散りに逃げ出した。
ヒュンヒュンと危機感をあおる鳴声が群れを連鎖していく中で、一個体だけブルルと低く鳴いて、しいな目がけ突っ込んでくる。
他と比べてかなり大きい。豚のように口吻がとび出た頭部の下あごに、シャベルのように平たい牙が二本、突き出している。
しいなは真上へ跳んで逃げた。
「風下から近づいたのに、見た目だけで敵にされた!?」
前のめりに姿勢を崩して滞空する下をけだものが駆け抜け、一本のサボテン木に頭から体当たりした。
省12
49: 流血衛星◆aP0ZjXi03Y 2006/01/19(木)21:01 ID:Wi2t5R9.(5/8) AAS
シャベルのような牙はしいなの皮膚を切り裂くほど鋭くないが、体重を乗せて腹を打たれれば内臓は無事では済まない。
反動をつけて突こうと牙イノシシがわずかに引いた瞬間を逃さず、絶好の間合いで頭突きした。
咳き込むように鳴いて巨体が後退する。
しいなは両手が空いているうちに腰の銃剣を抜いた。
牙イノシシの戦意は衰えていない。頭を低くして地面を這うように突進してくる。隙がない。
しいなはかわしざまに横から首へ銃剣を突き立てた。
牙イノシシの剛毛は刃物に大きな抵抗を示した。わずかにくいこんだ銃剣はからめ捕られて、しいなの手から離れる。
「え、あっ、返せ、逃げるな!」
逃げずに向かってくる。動きに痛手は感じられず、それでも反撃を警戒してか、突進と後退をくりかえして常に間合いを変化させている。
後退する時も左右不規則に曲がって追撃させない。
省14
50: 経血衛生◆aP0ZjXi03Y 2006/01/19(木)21:02 ID:Wi2t5R9.(6/8) AAS
「はぁ、はぁ、止めを」
大型動物を素手で倒した自分のちからを試したくなった。
ひっくりかえって四足をけいれんさせる牙イノシシの首筋に親指の爪を立て、剛毛をかきわけ皮膚を破って、筋肉の中に潜り込ませる。
中は火傷しそうなほど熱い。表皮こそ夏ミカンの皮くらいには抵抗したが、中身は蒟蒻のようだ。
びくん、びくんと、人間の数倍ゆっくりした拍動は感じられるが、血管の位置が特定できない。まとめて一気に引きちぎった。
熱くて芳香と粘性のある液体が噴出してしいなを濡らす。
顔にかかって滴る牙イノシシの体液を指でぬぐってくちに運ぶと、甘味と酸味と後を引く渋味があった。
「こいつ、血中に糖が濃いな。酸味は有機酸で、匂いはたぶん有機酸エステルだ。代謝系から地球の生物とは違う」
牙イノシシの下半身に興味を引かれて、割れ目のような部分から流れていた透明な液体で指を濡らして、くちにふくむ。
しいなは顔をしかめた。不味いからではなく、嫌悪から。
省7
51: 流血衛星◆aP0ZjXi03Y 2006/01/19(木)21:04 ID:Wi2t5R9.(7/8) AAS
消化管の中身を探るため巨体を解体する。銃剣で腹側から切り開く。
透明な血液は作業の邪魔にならない、銃剣がよく動く。
十センチ前後の体毛はブラシの毛のように強く張りがある。皮下深くの毛根から生えていて、ここだけは刃に強く抵抗した。
肋骨は半透明な軟骨で、胴鎧の部品のように平たい形状をして隙間を減らし、内蔵をよく守っている。
銃剣で叩き切って肋骨を引きはがすと、スポンジ状で空隙の多い一対の肺や、胸腔の中心に位置する太い血管がつながった心臓らしきも見つかった。
サツマイモのような形の心臓を切り取り握ってみると、弁があるのか端から端へ一方通行に流体を流す。容量もなかなか大きい。
首から尻まで続く消化管らしい管を破くと、すりつぶされた緑色の流動体があふれ出す。
植物食は間違いないが、地下茎やら甲虫の体節のような破片も混ざっている。
「満月よりは明るいって程度の惑星光じゃ作業しづらいな。朝を待ったほうがいいかな」
解体作業のため牙イノシシをまたぐ足に、ぞわぞわする感覚が這い上ってきた。
省10
52: 流血衛星◆aP0ZjXi03Y 2006/01/19(木)21:05 ID:Wi2t5R9.(8/8) AAS
周囲で土が盛り上がり、掘り返すと、腹をふくらませた節足動物や甲虫に似た生き物が大量に潜っていた。
表土は意外に薄い。数センチの腐葉土の下はもう砂礫とひび割れた堆積岩。そこに白い根が張り草木を支えている。
死体のぐるりを回って観察する。
ちから比べで組みあった時にしいなをにらみつけた目は落ち窪んで、毛皮の下にうごめく無数の気配があった。
夜に見たものとは違う、蜂に似た羽虫が何十匹もたかって這い回っている。
「おれも死んだらこうなるのか」
手強い相手の末路に自分の未来を想像せずにいられない。
洗う暇のなかった返り血がべとべとして、ひどく不快に感じられた。
続く
53: 流血衛星◆aP0ZjXi03Y 2006/01/19(木)21:12 ID:l1/lc6zM(1) AAS
sageにしていないのに上がらないんだが強制sage指定されてる?
54: 2006/01/20(金)07:03 ID:9k9uN7NU(1) AAS
投下乙
管理人への要望・削除依頼スレに書かれてなかったらきずきませんですた。
面白いのでageたいんですがね・・・・
55: 2006/01/20(金)10:14 ID:WYKdhMPU(1) AAS
同じく、凄く面白い話書いてますね、作者タソ乙!!
56: 2006/01/20(金)11:37 ID:WGR9fXYA(1) AAS
自分も今日気付いたw
いい話書いてますね
57: 2006/01/20(金)17:34 ID:7G.MQu9E(1) AAS
久しぶりの更新乙
てか理系だなぁーとおもう
58: 171◆XksB4AwhxU 2006/06/08(木)21:20 ID:wZ5STlsc(1/7) AAS
ラノベ3スレに埋め投下しようとしたけど、断念したものをここに投下
内容なんて無いに等しいです
「エキセントリックパレード2007」
59: 171◆XksB4AwhxU 2006/06/08(木)21:22 ID:wZ5STlsc(2/7) AAS
身軽な動きで壁を越え、住宅の敷地に入る。
(ここですか。大きい家ですね。)
できるだけ音を出さないようにして庭を進み、壁に張り付き、耳を澄ます。
ギシ ギシ ギシ
音が遠い。1階ではないようだ。
(すぐ出て行きますから・・・入っても大丈夫ですよね?)
前回も気付かれなかったし、今回だって気付かれないだろう。
(お邪魔します・・・)
開いていた窓から屋内に入る。二人は二階でお楽しみ中らしい。
(二年ぶりに見学させてもらいますよ)
省5
60: 171◆XksB4AwhxU 2006/06/08(木)21:24 ID:wZ5STlsc(3/7) AAS
・・・。
縄でぐるぐる巻きにされて、一歩も動けない。
「本当に来るなんてな。冗談半分で待ってたんだぞ。」
「待ってる時に「してる」わけないですよ!?」
な、なんでそんなに情報が漏れているんだ?
「お前、途中でアスターの部隊と合流して・・・」
しくじった!!あのトカゲが二人に話したのか!!
「詳しく聞いたら、俺たちの初夜も覗き見したっていうじゃないか?」
「そ、それは・・・」
「私たちのを見て、お嫁さんに試した?」
省2
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