[過去ログ] 大西武文(平成退屈男)のねずみ講にご注意 (542レス)
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422: 2015/02/12(木)00:24 ID:qI94KP0v0.net(1) AAS
「宇宙大戦」が始まってから、エミリは、マチアの家に泊まり込んで、ウルコフの部屋を使っていた。
テレビで「ディアナの勝利とイクナシオン総統の戦死」を聞くと、マチアは大変に歓んだ。エミリは本心を隠し、一緒になって歓んだ。
しかし、数日後、一人の軍人が、家を訪ねてきた。二人が玄関で迎えると、その軍人は、帽子を脱ぎ、一礼して、こう言った。
「ご報告申し上げます。ご子息、ウルコフ=バスリンク中尉は、名誉の戦死をされました。
提督より、ぜひとも、ゴールドイーグル勲章を、授与したいとの事ですので、明日、戦勝式典において、ご出席を願います」
マチアは、それを聞くと、崩れ落ちた。エミリとその軍人が抱きかかえる。
「お母さん、しっかりなさって下さい」
エミリが必死に庇う。軍人は、
「無念です。優秀なパイロットでした。ぜひとも、明日の式典には、ご出席下さい」
マチアは、嗚咽して、返事ができなかった。代りにエミリが返事をした。
省8
423: 2015/02/17(火)01:49 ID:0leMgD2J0.net(1) AAS
翌日、盛大な戦勝式典が執り行われた。マチアはバルバス提督から、軍人最高の勲章を授与された。
大観衆の中、居並ぶ軍人と、戦死した兵士の家族が並び、「月の歌」を斉唱した。
月影の 至らぬ里は 無けれども
眺むる人の 心にぞ澄む
マチアは、勲章を首に掛けていたが、旗を見る事は無く、背を丸めて、ただただ、俯いていた。
エミリは常にマチアに寄り添っていた。胸を張って、旗を見上げ、小声で斉唱した。涙が溢れて止まらなかった。
夜、海に一人で行った。エミリは、星を眺めていた。
「どの星だろう・・・」
ウルコフの星を探した。そのとき、一筋の流れ星が走った。
「あ・・・」
省7
424: 2015/02/18(水)22:45 ID:BzDfFyyD0.net(1) AAS
小説「故郷への凱旋」
故郷への凱旋
・・・私はこの作品を、すべてのハンセン病患者に捧げる・・・
昭和十七年春、十八歳の小宮山浩作は、家で母・オキナと食事をしていた。
「きっと戦闘機乗りになる」
息子が言うと、母は、
「戦闘機は危ないよ。偵察機とか、そういう安全な飛行機にしな」
しかし息子は、
「男なら、零戦(れいせん)だよ。敵をバッタバッタと、撃ち落すんだ」
「零戦はそんなに凄いのかい?」
省15
425: 2015/02/22(日)23:04 ID:WjOaNfPg0.net(1) AAS
浩作は、霞ヶ浦の予科練で、訓練を受けた。そして、卒業を迎える。七つボタンの制服で卒業式を迎えると、いよいよ、配属の発表だった。順番に、名前が呼ばれる。そして、浩作の番だった。
「小宮山浩作!」
「はい!」
「ラバウル海軍航空隊!」
「はっ!」敬礼した。
浩作は、日本軍最強部隊、いや、世界最強部隊の、ニューブリテン島・ラバウルに配属になった。
同期の数人と共に、輸送船で、ラバウルに着任した。昭和十八年春だった。上陸すると、上官が出迎えた。名前を確認すると、
「ついて来い」
基地へ向かう。浩作は頬を紅潮させていた。
(世界最強の精鋭に選ばれた)
省12
426: 2015/02/27(金)23:03 ID:AiD5jKGQ0.net(1) AAS
アメリカ軍の空襲だった。それを、ラバウル航空隊が迎え撃つ。見ていると、敵の編隊と、味方の編隊が、空で交差した。
そして、入り乱れ、やがて、火を吹いて墜落してゆく機体が、一機、また一機と、現われた。零戦は、まず爆撃機を狙っているらしい。
大型の航空機が、次々と墜落してゆく。しかし、中には、零戦が、敵戦闘機にやられて、墜落していた。
一時間も経ったであろうか。やがて、両軍は散らばって、アメリカ軍は帰投していった。
迎撃に向かった零戦が戻ってくる。
「おい、出迎えよう」
だれかが言うと、浩作たちは、戻って来る味方を出迎えに行った。中には、被弾して、血を流している飛行兵も居る。整備兵たちが、それらを抱き抱えて、診療所に連れて行く。
「すげえ・・・これが、戦争か」
誰かが唸った。すると、一人の飛行兵が、近づいてきた。階級章を見ると、「一等飛行兵曹(一飛曹)である。
自分たちは「二等飛行兵曹(二飛曹)」だから、たかが一階級上である。新米の連中は、挨拶程度に「敬礼」をした。するとその一飛曹は、
省23
427: 2015/03/06(金)22:29 ID:rCkc4adp0.net(1) AAS
とにかく、訳が分らない。みんな、何を怒っているのか???
すると今度は、「少尉」の階級章を付けた飛行兵が寄ってきた。これには、さすがに、驚愕した。みな、一斉に、「敬礼」をする。すると少尉は、「敬礼」を返してきた。そして、
「おまえら、誰なんだ? さっきから見ていると、うろうろしているだけじゃねえか」
「は、はい! 小宮山二等飛行兵曹であります!」
すると、みんなが、順番に名乗った。
「ああ、分った。新米だな」と、少尉。
「はい。ただ今、着任しまいたいしまいた!」ろれつが回らない。
「ついて来い」
そう言って、歩き出した。皆は、少しホッとする。付いていった。
基地に入る。飛行兵たちが、飛行服を着替えていた。浩作たちが部屋に入ると、皆が一斉に「ジロ」と、睨んで、無視した。ビビッていると、少尉は、「じゃ」と、どこかへ行ってしまった。
省18
428: 2015/03/15(日)23:15 ID:sLPglOC70.net(1) AAS
「よおーし・・・」
と、一飛曹は、
「俺は、坂川一飛曹だ。おい、おまえ」
と、浩作を呼んだ。
「はっ」
すると、また、耳に手をやる。浩作は、
「はいっっ!!!」
と、力の限り、声を振り絞った。
「来い」
と、ベッドの方に行き、座ると、軍靴を脱いで、
省6
429: 2015/03/19(木)22:54 ID:96FBqSo50.net(1) AAS
浩作たち新米は、数日間、おろおろして過ごした。とにかく、何をしていいのかが、分らない。その間、敵の空襲は無かった。
数日後、やっと、上官に呼ばれた。「大隊長」の部屋に一人で行く。
「小宮山二飛曹、入ります!!」
でかい声で挨拶して、入った。「大尉」の階級章を付けた、若い将校が机に座っていた。
「おう、小宮山か。座れ」
机の前の椅子を勧める。
「失礼します!!」
浩作は、律儀に座った。
「どうだ。ラバウルは?」
「はい! 私も早く飛んで、敵機を撃墜したいです!!」
省13
430: 2015/03/29(日)01:15 ID:NEbY6Rza0.net(1) AAS
「これが、おまえの搭乗機だ。尾翼に「K384」と書いてある。覚えておけ。
「は、はい!」
「どうだ。飛んでみるか?」
「い、いいのでありますか?」
「もちろんだ。俺に付いて来い。さあ、着替えてこい」
「はははい!」
小躍りして、兵舎に駆け込んで、飛行服に着替えた。部屋に居た誰かが、
「何を慌てている? 空襲か?」
浩作は、
「飛行機を与えられました。今から初めて飛びます!」答えた。
省28
431: 2015/03/30(月)22:41 ID:z8EHiU+S0.net(1) AAS
整備兵の小川が乗ってきた。
「今日は、撃ちまくってもいいぞ。空砲だからな。でも、絶対に小隊長を狙うなよ」
冗談を言う。
「は、はい!」
見ると、長谷川が手を振っている。
「二人に付いて行け」
と言うと、小川は降りた。見ると、長谷川機が、動き出した。二番機の斎藤機も動き出す。浩作は、小川に「敬礼」をして、風防を締め、スロットルを上げた。機体が、動き始める。
「母さん、俺、戦闘機乗りになったよ」
独り言をいいながら、操縦桿を握る。長谷川機と斎藤機は、滑走路に入り、滑走を始めた。浩作も、付いていく。
まず、長谷川機が、滑走を初めて、飛び立った。次に、斎藤機が、飛び立った。浩作は、スロットルを上げて、滑走を始めた。機体が走り始める。50キロ、100キロ、と、速度が上がる。風景が、後ろに流れる。
省20
432: 2015/04/14(火)22:31 ID:amZwwGZD0.net(1) AAS
「これからは、三人、どこでも一緒だ。早く腕を磨け、小宮山」長谷川が激励する。
「はい!」
まだ興奮おさまらず、浩作は、その夜は、眠れなかった。
数日後、またアメリカ軍の空襲があった。「ウィーン」と、空襲警報が鳴り響く。昼の食事をしているときだった。
「小宮山、来い!」
長谷川が食事を放り出して、部屋に向かう。浩作も付いていった。急いで飛行服に着替える。
「行くぞ!」
「はい!」
浩作の初陣だった。武者震いしてくる。ずらっと並んだ零戦に、大勢の飛行兵が一斉に駆け寄る。浩作も、自分の機に乗り込んだ。無線を操作する。
「こちら長谷川、小宮山、聞こえるか?」
省31
433: "rem+ran" 2015/04/14(火)22:49 ID:TAHlZcLR0.net(1) AAS
西井佐輝子きちがい
434: 2015/04/25(土)04:23 ID:tpg+QKlm0.net(1) AAS
「二時のグラマン四機を狙う」
「了解」と斎藤。
「了解」浩作も返事した。
右に捻り、上からグラマンの編隊を取った。ドドドド、と、長谷川が機銃を撃つ。グラマンは、散開した。長谷川は先頭の機を追った。斎藤は右の機に付いていった。浩作は、
「ならば」
と、左に旋回した。グラマンの後ろに付く。ドドドド、と、機銃を発射するが、全然当たらない。更に追う。また、ドドドド、と、発射するが、外れた。敵が右に急旋回する。浩作は喰らいつく。また、ドドドド、と、撃つが、当たらない。
「クッ。難しい!」
どうしても、当たらない。掠りもしなかった。それでも、なお、食いついた。敵は左に急旋回する。こっちも付いていく。敵は、右、左、右、と、捻って振り切ろうとする。それを追う。
すると敵は、ローリング(横回転)をした。すると、なんと、自分の機が、敵の前に飛び出してしまった。
「しまった!」
省19
435: 2015/04/29(水)20:31 ID:71f3XcBf0.net(1) AAS
「おまえはまだ一人では無理だ。俺に付いてこい」
「了解」
「しまった! ソウドウだ!」
と、長谷川は、左の方を見ている。そちらを見ると、なるほど、胴体が二つある、異様な形の戦闘機が、一機、こちらに向かってきていた。
「小宮山、逃げろ!」
「はい」
分らないが、とにかく上昇して、雲のほうに向かった。長谷川を見ていると、その「双胴」と、やり合うつもりらしい。
「小宮山」
「は?」
「斎藤だ。小隊長を援護する。俺に付いてこい」
省11
436: "rem+ran" 2015/04/29(水)22:47 ID:L2K9xJr90.net(1) AAS
西井佐輝子きちがい
437: 2015/04/30(木)01:35 ID:lCuro3bY0.net(1) AAS
その夜、浩作が夕食を食べていると、長谷川が横に座った。
「どうだ、初陣の気分は?」
ちょっと考えてから、
「弾が当たらないのには、驚きました」
「弾か・・・まあ、経験だな」
「ところで小隊長」
「ん?」
「あの、双胴って、何者なんです?」
「ああ、もう、六機撃墜されている。物凄いパイロットだ。いいか、出くわしたら、一目散に逃げろ。おまえでは、まだ勝てない」
「そんなに凄いんですか?」
省14
438: 2015/05/02(土)21:45 ID:DyNknudw0.net(1) AAS
それで、ラバウルの遊郭に行く事になった。長谷川は、
「夜は、上官も部下も無い。長谷川、でいいぞ」
「はい、小隊長」
長谷川は、浩作の頭を撫でた。遊郭に入る。
「いらっしゃい。おや、ハセさん、弟さんですか?」
「ああ。コウちゃんだ。よろしく」
座敷に案内された。芸者が踊り、二人で酒を飲んで、はしゃいだ。
「コウちゃんは、いくつ?」
「じゅ・・・じゅうくです」
「あらあ・・坊やね。今夜はお姉さんが、お相手してあげるわ」
省19
439: 2015/05/03(日)23:10 ID:aj8yUr7n0.net(1) AAS
小さな赤い部屋に入る。布団が敷いてあった。
「さあ、コウちゃん、脱いで」
と、芸者は服を脱がし始めた。そして、裸にすると、アレをくわえてきた。
浩作は、大興奮する。芸者は、浩作の手を、自分の乳房に誘った。浩作は興奮しまくって、すぐに出してしまった。
「げきつーい!」と、芸者。
「なによ、コウちゃん。まだ何もしてないじゃない。さあ、もう一度」と、自分も、裸になった。浩作は、」また興奮してきた。
「さすがに若いわね」
一緒に布団に入る。
「お姉さん」
「なに?」
省8
440: 2015/05/05(火)20:32 ID:W9pIN0bW0.net(1) AAS
数日後、またアメリカ軍の空襲があった。浩作は、初陣の時よりも落ち着いていた。今度は、午後の訓練中だった。
「ウィーン」と、空襲警報が鳴り響く。
「弾槽を詰めろ!」
「燃料補給! 急げ!」
整備兵たちが一斉に準備に入る。将校が一人、望遠鏡を覗いていた。
「爆撃機が多いな」
傍に居た長谷川が、
「双胴はどうです?」聞いた。
「見えないが、たぶん、居るだろう」
「準備完了!」と、整備兵。
省23
441: 2015/05/21(木)01:32 ID:Ho+LCu1X0.net(1) AAS
長谷川が速度を上げた。二機が付いていく。B17は、真っ直ぐラバウルに向かっている。その前方上空を取った。B17が反撃してくる。
「敵の機銃に気を付けて突っ込め!」
長谷川が、急降下した。二機が続く。B17に突進する。ドドドド、と、20ミリ機関砲を浴びせた。B17の一機が、煙を吐いた。下に突き抜ける。
「反転して、もう一度!」
長谷川が急上昇する。
ドーンと、そのとき、長谷川の零戦が爆発した。
「小隊長!」
浩作が叫ぶ。
「小宮山、後ろだ!」
「えっ?」
省15
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