[過去ログ] 大西武文(平成退屈男)のねずみ講にご注意 (542レス)
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413: 2014/12/24(水)21:22 ID:pybFwX7G0.net(1) AAS
「行かないで・・・」
ウルコフは、泣き出した。
「分らない・・・でも、それが俺の運命のような気がする」
エミリも、泣き出した。
「自分から死を選ぶのが、なぜ運命なの?」
「理屈じゃない」
「私は・・・許さないからね!」
立ち上がった。エミリは、車の方に歩いていく。ウルコフも立ち上がって、追いかけた。
「エミリ!おまえを愛している。だから、真実を話している。でも、母にだけは、志願したとは、言って欲しくない。頼む!」
両手でエミリの肩を掴んだ。
省10
414: 2014/12/29(月)20:19 ID:vv771Dj80.net(1) AAS
その夜は、眠れなかった。しかし、遺書は、書かなかった。
翌朝、またエミリが家までやってきた。
ウルコフは支度すると、
「じゃ、母さん、デートしてくる」
明るく笑って、出かけた。
エミリは、
「教会に行きたい」
と、言った。
「分った」
車を走らせ、町の教会に入った。エミリは、
省12
415: 悲痛痔 2015/01/04(日)19:22 ID:3ex4rwON0.net(1) AAS
前からおんぶ
416: 2015/01/05(月)02:39 ID:1v20ia7W0.net(1) AAS
家に帰ると、ウルコフは、マチアに、「母さん、明日の朝は、おはぎとしるこにしてくれ」と頼んで、その夜はぐっすり眠った。
朝起きると、おはぎとしるこが作ってあった。
「うまい、うまい」
バクバク食べる。
母は微笑んでいた。
「じゃあ、今度はいつ帰れるか、分らない」と、車に乗り込んだ。
母は見送って、「いつでも戻ってきな」と、手を振った。
「ああ」
それが、最後の母への言葉だった。
運転しながら、胸ポケットから、写真を取り出した。
省12
417: 2015/01/11(日)01:14 ID:rx3BUvTF0.net(1) AAS
「このピラミッドは、核融合原子炉だ。エネルギーレベルは、液化水素の数億倍ある。もしこのエネルギーで兵器を造られたら、月を丸ごと破壊するほどの核兵器が出来てしまう。
また、この原子炉を破壊すれば、敵の兵器のすべての動力源を止める事ができる。そこで、破壊する方法だが・・・」
皆を見回してから、
「ピラミッドの四辺に、四つの排気孔がある。直径は十メートル、長さは数キロメートルで、直線である。ここに、正確な角度で、しかもブレが無い方法で、ミサイルを撃ち込むしかない。
しかし、ミサイルは必ずブレを生じる。たとえ穴に命中させても、数キロの通路を飛んでいるうちに、摩擦で爆発してしまう。そこで、・・・」
と、また、皆を見渡してから、
「一つの方法を考えた。宇宙戦闘機・デリアスなら、胴体直径は宇宙戦闘機の中で最も細い。即ち、爆弾を胴体の内部に詰め込み、機体ごと、排気孔に突入させる。
マッハ以上で、正確な角度で突入すれば、翼が吹き飛んで、胴体だけ原子炉まで、一気に滑り落ちる。分るか?脱出する方法は、無い」
パイロットの一人が質問した。
「胴体が原子炉に当たれば、原子炉は爆発するのですか?」
省10
418: 2015/01/21(水)22:47 ID:xW7KkPYa0.net(1) AAS
十三月下旬、ディアナ始まって以来の、戦争が開始されようとしていた。地球軍も、先の第一次宇宙海戦での損害を立て直して、真っ向から挑んできた。
ディアナ軍旗艦「ライファー」の艦橋では、突撃隊の「別れの水杯」が、行なわれていた。隊員たちは、自分たちの部隊を、「カミカゼ」と呼んでいた。
三十名の隊員は、横一列に並んで、一人ずつ、バルバス提督の杯を受け取って飲み干した。バルバスは、
「この決戦の勝敗は、諸君の成功如何にかかっている。頼むぞ!」
と、訓示した。全員、「敬礼」をすると、小型船に乗り移り、空母に向かった。バルバスは、司令室に入る。
「カミカゼが発進し次第、総攻撃を開始する!」
全軍に通達した。カミカゼ隊は、空母に移動すると、赤く塗られた機体の「デリアス」に、各々搭乗した。その中にウルコフも居た。彼は「十三号機」であった。ヘルメットから、交信が聞こえる。
「一号機、発進準備よし」
「二号機、準備よし」
「三号機、準備よし」
省8
419: 2015/01/28(水)23:28 ID:vWV6/bN70.net(1) AAS
旗艦・ライファーでは、
「カミカゼ、発艦しました」
と、報告があった。バルバスは、
「よし、全艦隊突撃、戦闘機は全機発進、駆逐艦は突進せよ」
戦闘命令を出した。
地球からは、星のような数の無数の大艦隊が向かってくる。
「敵戦闘機接近。味方戦闘機と交戦します」
通信員が報告する。
「敵の旗艦はまだ見つからんか?」
「索敵中です」
省17
420: 2015/01/31(土)22:50 ID:MbqWJd0F0.net(1) AAS
一番機をレーダーで見ていると、敵の潜水艦にまっしぐらに向かっていた。
(まさか・・・)
見ていると、やはり、自爆する態勢である。やがて、衝撃波が観測されて、潜水艦も一番機も、信号を消した。ウルコフは「合掌」をする。
「こちら二番、敵潜水艦沈没、これより指揮を取る」
「了解」

旗艦・ライファーで、バルバスは怒鳴っていた。
「弾幕を脹れ!カミカゼはどうだ?」
「十一号機、敵潜水艦に突入し自爆、潜水艦は沈没!」
「他は?」
「残り二十九機、予定通り侵入中、まもなく大気圏に突入します!」
省28
421: 2015/02/01(日)23:48 ID:WX6rCxuN0.net(1) AAS
ウルコフも、機を急降下させた。敵の基地からは、物凄い弾幕だった。次々にカミカゼが一機、二機と、空中爆発する。
「こちらカミカゼ十三号機、排気孔を確認した!」
ウルコフが叫ぶ。排気孔の角度を計測して、同じ角度で弾道飛行をセットした。もう、「ブレ」は許されない。
「エミリ・・・母さん・・・」
母の写真を右手に取って、左手で操縦桿を握り締める。排気孔が見えてきた。
「エミリー!!」
ドーン、と、機体が穴に突っ込んで、翼が吹き飛ぶ。そして、胴体だけ、通路を突進していった。
やがて、大音響と共に、「きのこ雲」が、巻き上がった。核爆発である。上空の潜水艦たちも、すべて巻き込まれた。

「地球で振動を確認!」
通信員が叫ぶと、
省12
422: 2015/02/12(木)00:24 ID:qI94KP0v0.net(1) AAS
「宇宙大戦」が始まってから、エミリは、マチアの家に泊まり込んで、ウルコフの部屋を使っていた。
テレビで「ディアナの勝利とイクナシオン総統の戦死」を聞くと、マチアは大変に歓んだ。エミリは本心を隠し、一緒になって歓んだ。
しかし、数日後、一人の軍人が、家を訪ねてきた。二人が玄関で迎えると、その軍人は、帽子を脱ぎ、一礼して、こう言った。
「ご報告申し上げます。ご子息、ウルコフ=バスリンク中尉は、名誉の戦死をされました。
提督より、ぜひとも、ゴールドイーグル勲章を、授与したいとの事ですので、明日、戦勝式典において、ご出席を願います」
マチアは、それを聞くと、崩れ落ちた。エミリとその軍人が抱きかかえる。
「お母さん、しっかりなさって下さい」
エミリが必死に庇う。軍人は、
「無念です。優秀なパイロットでした。ぜひとも、明日の式典には、ご出席下さい」
マチアは、嗚咽して、返事ができなかった。代りにエミリが返事をした。
省8
423: 2015/02/17(火)01:49 ID:0leMgD2J0.net(1) AAS
翌日、盛大な戦勝式典が執り行われた。マチアはバルバス提督から、軍人最高の勲章を授与された。
大観衆の中、居並ぶ軍人と、戦死した兵士の家族が並び、「月の歌」を斉唱した。

 月影の 至らぬ里は 無けれども

 眺むる人の 心にぞ澄む

マチアは、勲章を首に掛けていたが、旗を見る事は無く、背を丸めて、ただただ、俯いていた。
エミリは常にマチアに寄り添っていた。胸を張って、旗を見上げ、小声で斉唱した。涙が溢れて止まらなかった。

夜、海に一人で行った。エミリは、星を眺めていた。
「どの星だろう・・・」
ウルコフの星を探した。そのとき、一筋の流れ星が走った。
「あ・・・」
省7
424: 2015/02/18(水)22:45 ID:BzDfFyyD0.net(1) AAS
小説「故郷への凱旋」
故郷への凱旋

・・・私はこの作品を、すべてのハンセン病患者に捧げる・・・

昭和十七年春、十八歳の小宮山浩作は、家で母・オキナと食事をしていた。
「きっと戦闘機乗りになる」
息子が言うと、母は、
「戦闘機は危ないよ。偵察機とか、そういう安全な飛行機にしな」
しかし息子は、
「男なら、零戦(れいせん)だよ。敵をバッタバッタと、撃ち落すんだ」
「零戦はそんなに凄いのかい?」
省15
425: 2015/02/22(日)23:04 ID:WjOaNfPg0.net(1) AAS
浩作は、霞ヶ浦の予科練で、訓練を受けた。そして、卒業を迎える。七つボタンの制服で卒業式を迎えると、いよいよ、配属の発表だった。順番に、名前が呼ばれる。そして、浩作の番だった。
「小宮山浩作!」
「はい!」
「ラバウル海軍航空隊!」
「はっ!」敬礼した。

浩作は、日本軍最強部隊、いや、世界最強部隊の、ニューブリテン島・ラバウルに配属になった。

同期の数人と共に、輸送船で、ラバウルに着任した。昭和十八年春だった。上陸すると、上官が出迎えた。名前を確認すると、
「ついて来い」
基地へ向かう。浩作は頬を紅潮させていた。
(世界最強の精鋭に選ばれた)
省12
426: 2015/02/27(金)23:03 ID:AiD5jKGQ0.net(1) AAS
 アメリカ軍の空襲だった。それを、ラバウル航空隊が迎え撃つ。見ていると、敵の編隊と、味方の編隊が、空で交差した。
そして、入り乱れ、やがて、火を吹いて墜落してゆく機体が、一機、また一機と、現われた。零戦は、まず爆撃機を狙っているらしい。
大型の航空機が、次々と墜落してゆく。しかし、中には、零戦が、敵戦闘機にやられて、墜落していた。
 一時間も経ったであろうか。やがて、両軍は散らばって、アメリカ軍は帰投していった。
 迎撃に向かった零戦が戻ってくる。
 「おい、出迎えよう」
 だれかが言うと、浩作たちは、戻って来る味方を出迎えに行った。中には、被弾して、血を流している飛行兵も居る。整備兵たちが、それらを抱き抱えて、診療所に連れて行く。
 「すげえ・・・これが、戦争か」
 誰かが唸った。すると、一人の飛行兵が、近づいてきた。階級章を見ると、「一等飛行兵曹(一飛曹)である。
自分たちは「二等飛行兵曹(二飛曹)」だから、たかが一階級上である。新米の連中は、挨拶程度に「敬礼」をした。するとその一飛曹は、
省23
427: 2015/03/06(金)22:29 ID:rCkc4adp0.net(1) AAS
 とにかく、訳が分らない。みんな、何を怒っているのか???
 すると今度は、「少尉」の階級章を付けた飛行兵が寄ってきた。これには、さすがに、驚愕した。みな、一斉に、「敬礼」をする。すると少尉は、「敬礼」を返してきた。そして、
 「おまえら、誰なんだ? さっきから見ていると、うろうろしているだけじゃねえか」
 「は、はい! 小宮山二等飛行兵曹であります!」
 すると、みんなが、順番に名乗った。
 「ああ、分った。新米だな」と、少尉。
 「はい。ただ今、着任しまいたいしまいた!」ろれつが回らない。
 「ついて来い」
 そう言って、歩き出した。皆は、少しホッとする。付いていった。
 基地に入る。飛行兵たちが、飛行服を着替えていた。浩作たちが部屋に入ると、皆が一斉に「ジロ」と、睨んで、無視した。ビビッていると、少尉は、「じゃ」と、どこかへ行ってしまった。
省18
428: 2015/03/15(日)23:15 ID:sLPglOC70.net(1) AAS
 「よおーし・・・」
 と、一飛曹は、
 「俺は、坂川一飛曹だ。おい、おまえ」
 と、浩作を呼んだ。
 「はっ」
 すると、また、耳に手をやる。浩作は、
 「はいっっ!!!」
 と、力の限り、声を振り絞った。
 「来い」
 と、ベッドの方に行き、座ると、軍靴を脱いで、
省6
429: 2015/03/19(木)22:54 ID:96FBqSo50.net(1) AAS
浩作たち新米は、数日間、おろおろして過ごした。とにかく、何をしていいのかが、分らない。その間、敵の空襲は無かった。
数日後、やっと、上官に呼ばれた。「大隊長」の部屋に一人で行く。
「小宮山二飛曹、入ります!!」
でかい声で挨拶して、入った。「大尉」の階級章を付けた、若い将校が机に座っていた。
「おう、小宮山か。座れ」
机の前の椅子を勧める。
「失礼します!!」
浩作は、律儀に座った。
「どうだ。ラバウルは?」
「はい! 私も早く飛んで、敵機を撃墜したいです!!」
省13
430: 2015/03/29(日)01:15 ID:NEbY6Rza0.net(1) AAS
「これが、おまえの搭乗機だ。尾翼に「K384」と書いてある。覚えておけ。
「は、はい!」
「どうだ。飛んでみるか?」
「い、いいのでありますか?」
「もちろんだ。俺に付いて来い。さあ、着替えてこい」
「はははい!」
小躍りして、兵舎に駆け込んで、飛行服に着替えた。部屋に居た誰かが、
「何を慌てている? 空襲か?」
浩作は、
「飛行機を与えられました。今から初めて飛びます!」答えた。
省28
431: 2015/03/30(月)22:41 ID:z8EHiU+S0.net(1) AAS
整備兵の小川が乗ってきた。
「今日は、撃ちまくってもいいぞ。空砲だからな。でも、絶対に小隊長を狙うなよ」
冗談を言う。
「は、はい!」
見ると、長谷川が手を振っている。
「二人に付いて行け」
と言うと、小川は降りた。見ると、長谷川機が、動き出した。二番機の斎藤機も動き出す。浩作は、小川に「敬礼」をして、風防を締め、スロットルを上げた。機体が、動き始める。
「母さん、俺、戦闘機乗りになったよ」
独り言をいいながら、操縦桿を握る。長谷川機と斎藤機は、滑走路に入り、滑走を始めた。浩作も、付いていく。
まず、長谷川機が、滑走を初めて、飛び立った。次に、斎藤機が、飛び立った。浩作は、スロットルを上げて、滑走を始めた。機体が走り始める。50キロ、100キロ、と、速度が上がる。風景が、後ろに流れる。
省20
432: 2015/04/14(火)22:31 ID:amZwwGZD0.net(1) AAS
 「これからは、三人、どこでも一緒だ。早く腕を磨け、小宮山」長谷川が激励する。
 「はい!」
 まだ興奮おさまらず、浩作は、その夜は、眠れなかった。

 数日後、またアメリカ軍の空襲があった。「ウィーン」と、空襲警報が鳴り響く。昼の食事をしているときだった。
 「小宮山、来い!」
 長谷川が食事を放り出して、部屋に向かう。浩作も付いていった。急いで飛行服に着替える。
 「行くぞ!」
 「はい!」
 浩作の初陣だった。武者震いしてくる。ずらっと並んだ零戦に、大勢の飛行兵が一斉に駆け寄る。浩作も、自分の機に乗り込んだ。無線を操作する。
 「こちら長谷川、小宮山、聞こえるか?」
省31
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