[過去ログ] 【腐女子カプ厨】巨雑6441【なんでもあり】 [無断転載禁止]©2ch.net (1002レス)
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165: (スプッ Sdb8-xmDs) 2016/04/08(金)06:01 d AAS
「あ」
 そしてぎんっぎんに勃起していた筈のあいつの性器は急にしゅんと縮こまり、ずるりと俺の中から出ていってしまったのだった。  たまらず俺は、声を荒げた。
「馬鹿てめー俺ァまだイき足りてねぇぞ!なに萎えさせてんだ馬鹿!」
「ば、馬鹿お前、ダメ!そういう慎みのないこと言っちゃダメです!!」
「いい年こいた男に慎みもクソもあるか!」
「そりゃそうだけど、そうなんだけどぉぉぉぉ」
 そうして益々ぐりぐりと頭を振る万事屋はとくれば、まるきり聞き分けのない駄々っ子なのである。
 いい年こいてるのはてめーも同じだろうが、何してんだてめーはよ。
 そう声にして呟くのも億劫だったので、代わりに俺はさっきからこっしょこしょと人の胸をくすぐってくる無作法な天パを雑に撫でてやった。
「なに。お前結局なんなの。俺をどうしてーんだよ、わけ分かんねぇ」
省5
166: (スプッ Sdb8-xmDs) 2016/04/08(金)06:02 d AAS
「なんか俺に……なんていうの、人にあんま見せるようなもんじゃないとこ?弱みになっちまうようなもん?見せてくれたみたいで。
 それにお前、俺がどんなことしてもほぼほぼ全部受け入れてくれたじゃねぇか。口では文句ばっか垂れてたけど。そういのも、俺ァ、嬉しかったなぁ……」
 ぼそぼそと呟きながら万事屋は目を逸らし、しまいにはまた俺の胸に顔を埋めて隠してしまう。そのまま殆ど聞こえないような声で
「まあ俺も性癖が性癖だから、そういうの関係なしに楽しんでたところもあったんだけど」
 と呟いていたような気もしたが、聞かなかったことにしてやった。
 あいつの頭を撫でてやる手が余計に乱暴になってしまうのを止めることはできなかったが。
 残念な天パはもはや爆発したようになっている。
「なのに……なのになんで今更、おめーのこと大事にしてやりたくてたまらなくなっちまったかなぁ」
「万事屋……?」
「……こんなに好きになるなんて、思ってなかったんだよなぁ」
省9
167: (スプッ Sdb8-xmDs) 2016/04/08(金)06:03 d AAS
 嬉しいだなんてことを、思ってしまっていた、ようなのだ。
「……万事屋……」
 どうしよう。
 どうしよう。
 どう、しよう。
「お前に散々っぱら変態行為働いてきたこと、すげぇ後悔しちまってるし、お前にろくでもねぇことばっか仕込んで……お前を風呂屋の姉ちゃん顔負けのとんでもねぇ淫乱にしちまったのが俺なんだと思うと、なんかちょっと死にてぇって思う。
やり直せるなら最初からやり直してぇよ。最初からお前のこと、もっと大事に大事に抱いてやりたかった。他人にこんな、ここまでずっぷりはまっちまうほど惚れたことなんて、ねぇから俺は……
やり方が、よく分かってなかった。いい年こいてこれだぜ、笑えてくるわ。いや笑えねーか、笑えねーな」
 のそりと起き上った万事屋は、万事屋らしからぬ弱々しい声で万事屋らしからぬことを呟きながら、そっと俺の頭を撫でてくる。
 その手はあまりにも、ぎこちない。俺にふり払われることを恐れてでもいたかのようだ。
省10
168: (スプッ Sdb8-xmDs) 2016/04/08(金)06:03 d AAS
……いや、ほんとは構いまくりなんだけどね!そんなん死ぬほど悲しいけど、でもお前がもう会ってくれなくなるより全然マシっつーか……ほんとはやだけど……」
「む、むぐぅ、うぅー!」
 しょんぼりと項垂れてしまった万事屋は、しかし俺の口を塞ぐ手の力を一切緩めようとしなかった。よっぽど俺から「別に俺はそこまでお前のこと好きじゃねーし」だとか「おうこれからもよろしく頼むわ肉ディルド」みたいな台詞を聞くのが怖かったのだろうと思う。
 冗談じゃない。誰がそんなことを言うものか。
 大体俺は、そりゃそこそこの距離を取っていたかったし、必要以上にのめり込むのもごめんではあったものの、身体だけの関係だなんて。
 そんなこと、思ったことも、なかったのに。
「ごめん土方時間ちょうだい。お前とのことちょっと、自分ん中で折り合いつける時間が必要そうだ。しばらく距離置いてみようぜ、その間に俺またお前に喜んでもらえるようなプレイも考えておくから。
恥ずかしかったり痛かったりするやつがいいんだよな、お前?……ほんとはもう、そんなことしたくねーんだけどね!」
「ぷぁっ、お、おい、万事屋!」
 ようやく俺の口を解放した万事屋は、慌ただしくベッドから滑り降りて下着を履いた。
省10
169: (スプッ Sdb8-xmDs) 2016/04/08(金)06:04 d AAS
 ベッドの上で思わず漏らしてしまった呟きは、誰に聞かれることもなく暖房の音に紛れて消えた。
「……、」
 現状を維持したいなら俺はあいつを追うべきではなかったし、あいつの気持ちの整理が付くまでこちらから連絡を取るべきでもなかった。
 そうすれば全てが丸く、俺が望む形に収まるのだ。適度な距離に適度な理解。
 のめり込み過ぎてはいないものの、情が全くないわけでもない、今までそうであった筈の関係に。
 だがそれは、俺ともっとどうにかなりたいのだと。
 半分泣いてるような面で告白してきたあいつの気持ちを無碍にしてまで、維持しなければならないものであるのだろうか。
 あいつにのめり込むのが怖いだなんて理由であいつを傷付けっぱなしにするくらいなら、ちょっとくらいのめり込んでしまってもよいのではないのか。
 そんな理由のせいであいつを追うこともできないのなら、そんなものなど捨ててしまってもよいのではないか――そんなことを、どうやら俺はそれなりに、本気で思ってしまっていたらしかった。
 怖いけれど。これ以上あいつとの距離が狭まり過ぎて、頭の中があいつでいっぱいになってしまうかもしれないってのは、とんでもなく恐ろしいことではあるけども。
省10
170: (スプッ Sdb8-xmDs) 2016/04/08(金)06:06 d AAS
 そんなこんなで、現在である。
 時刻は午後6時少しすぎ。こんな時に限って攘夷浪士どもは大人しく、接待の予定なぞも入っていない。
 近藤さんまでもが「休める時に休んでおけよ」と変に気を回してきて、夜に片付けようと思っていた書類を取り上げていってしまう始末だ。今夜の俺は、もの凄く暇なのだった。図ったように、お誂え向きに。
「……」
 今日一日、俺は何度かあいつに電話をしようと試みた。試みただけで、まだ実際に掛けられてはいなかった。
 いくらディスプレイに表示された番号を睨み付けたところで勝手に電話は繋がってくれないし、都合よくあっちから掛かってくるということもない。
 つまりあいつと話そうと思うなら、俺は俺の意志で通話ボタンを押さなければならないのだ。
 しかしこれが中々勇気がいる。上手くあいつと話すことができるのだろうか。余計に話が拗れてしまうのではないだろうか。
 胸の中を占める何とも言えない不安たちが、通話ボタンの上に乗っかった指先を鈍らせてしまっていた。
 だがいつまでもこんなことをしていても仕方がない。時間が解決してくれるようなことでもないのだ、腹を括ると決めただろう、土方十四郎。
省9
171: (スプッ Sdb8-xmDs) 2016/04/08(金)06:07 d AAS
「あれ、副長お出掛けですか?飲みにでも?いいなぁ、たまには俺も連れてってくださいね」
「ああ?あぁ……連れてって欲しけりゃちったぁ真面目に働けよ」
「俺はいつだって真面目ですよ。……ていうか副長、今から行くのって本当に飲み屋ですか?」
「は?」
「なんか、出入りの時みたいな顔してますけど」
「ああ……まぁ、似たようなもんだな」
「休みの時にまで無茶なことばっかせんでくださいよ」
「しねーようるせーよ」
「あいてっ」
 会いに行くしか、ないではないか。
省15
172: (スプッ Sdb8-xmDs) 2016/04/08(金)06:07 d AAS
 言い逃れがきかないくらいばっちりと、目が合った。その途端、反射のようにごくりと一度、喉が鳴る。
 心臓の音もうるさくて、多分頬はそこそこ赤くなっている。顔が熱いから、鏡を見なくても分かる。
 一度深く息を吸ってから、俺はあいつに向かって片手を挙げた。
 そして万事屋、と、あいつを呼――ぼうと、したのだが。
「――!?」
「あ、ちょっと銀さん!どうしたんですか急に!」
「ほっとけヨ新八、どうせトイレアル」
 あいつはひらりと身を翻し、そのまま目にも止まらぬ速さでどこぞへと走り去っていってしまったのだった。
 あまりにも豪快に、傷付いただなんて思う暇もなく、俺は避けられてしまったのである。
「あれ、土方さん?珍しいですね、こんな時間に会うなんて」
省16
173: (スプッ Sdb8-xmDs) 2016/04/08(金)06:08 d AAS
 なにやら慌てた様子のメガネに一瞥をくれることもなく、チャイナはずい、と俺との距離を詰めてくる。
「昨日銀ちゃんと会ってたの、オマエなんだロ」
「え?あ、ああ、まぁ……うん……?……なに、あいつわざわざ俺と会うとか言って出掛けてんの?」
「んなもんわざわざ聞かなくても分かるアル。銀ちゃん、めっちゃうきうきしてたもん。オマエと会う時はいっつもそうヨ。ダダ漏れアル」
 チャイナはやれやれと言わんばかりに肩を竦め、メガネは曖昧にははと笑った。
「いつもは帰ってきてからもふわっふわのうっきうきヨあの天パ。よっぽどオマエと会うのが楽しいんだロナ。でも昨日は死ぬほどしょんぼりして帰ってきて、今日も一日中へこんでたアル。
オマエ、とうとう銀ちゃんのことふったのか?新八もそうなんじゃないかって言ってたヨ」
「あ、い、いや土方さん、別に銀さんは何も言ってませんからね。誰が好きだとか誰と会ってるだとか、そういうの一言も言ったことないです。ダダ漏れのもろバレだから勝手にこっちが察しちゃっただけで」
「そ、そうか……そっちの方がなんかアレなようにも思うんだが……」
 というかこんな子供たちにまで察せられてしまうほどあからさまだったあいつの好意に、どうして当の俺が気付くことができなかったのか。
省7
174: (スプッ Sdb8-xmDs) 2016/04/08(金)06:09 d AAS
 あいつの傍にはそんな人間たちがちゃんといてくれるのだというその事実が、何故だか無性に嬉しかった。
 この気持ちはどこから来るものなのだろう――そういうことに決着をつけるためにも、俺は、
「……会いに来た。あいつに」
 俺がそう言うと、チャイナとメガネはあからさまではないものの、しかしほっと息を吐いた。
 うっかり口の端が緩んでしまいそうになるのを、唇を噛んでやり過ごす。
「でもお前ら、今日は鍋なんだろ。楽しみにしてたんじゃねぇのか」
「鴨は逃げませんよ。明日まで持ちますし」
「デモナー、デモナー、わたし今日は鍋食べる気満々だったからナー。カモがダメなら代わりにカニでもいいから食べたいナー、チラッ、チラッ」
「たかり方まであいつに習ってんのかよ、てめーは。ほら」
「キャッホー!!」
省10
175: (スプッ Sdb8-xmDs) 2016/04/08(金)06:09 d AAS
「……おう。腹いっぱい食べてこいよ」
「はい!」
「任せろアル!」
 カニを目指して駆けてゆく子供たちの背中が人混みに紛れてしまうまで見送ってから、俺も万屋への一歩を踏み出した。
 ほどなくして、俺は万事屋の玄関前へと辿り着いた。なんの障害があるわけでもなく、あまりにもあっさりと。
 横開きの戸の向こう側は、うっすらと明るいようだった。どうやらあいつはちゃんと家に帰っていたらしい。
 もしかすると適当な飲み屋にでも逃げ込んでいるのではないか、と思わないでもなかったのだが。
「……」
 インターホンを押そうかと思ったが、やっぱり止めた。
 代わりに俺は、寒さにかじかむ指先を叱咤して玄関の戸を引いた。案の定鍵はかけられていなかった。
省9
176: (スプッ Sdb8-xmDs) 2016/04/08(金)06:10 d AAS
「俺は、身体だけの関係だなんて思ったことねぇぞ。それなりの気持ちがなけりゃ、野郎相手に股ァ開けるわけないだろうが」
 万事屋はまだ、動かない。
 下手な狸寝入りを続けている。早くそのジャンプどけろ馬鹿。
 沸々と湧き上がる焦燥感と同調するように、右手に下げたビニール袋ががさりと小さく音を立てた。
「お前に……大事にされてないと、思ったこともない。確かにそりゃお前は酷い変態だった。俺もそろそろ三十路になるが、あんなことをされたのは初めてだ。でもそれはただ、お前がああいうプレイが好きなんだってだけの話だろ。
それが何で俺を大事にしてこなかったことになるんだ。てめーはいつも、俺が会う約束破ってもひとつふたつ文句言うくらいで、あんまり責めたこともなかったじゃねぇか。待ち合わせに遅れた時もだ。どれだけでも待っててくれたし、責めなかった。
詫び入れろっつってその辺の物陰でしゃぶらされたことはあったけどな。そういうろくでもねぇところはあるが、でも悪い奴じゃねぇよ、てめーは」
 遅れてきた俺に、遅ぇよ馬鹿お仕事お疲れさん、つって缶コーヒー投げて寄越してくれたことも何度かあった。
 一発ヤり終えたあとはめんどくせぇだのなんだの言いながらも、必ず俺の身体の後処理をしてくれた。
 ぼんやりと寝転がる俺の頭をがしがしと撫でる手は、乱暴なのになんだか妙に、優しかっただろう――
省6
177: (スプッ Sdb8-xmDs) 2016/04/08(金)06:10 d AAS
 あいつはろくでもないし金もない、減らず口と揚げ足取りが標準装備のいけ好かないドS野郎であるのだが、でも不器用で変なところが繊細で、転がり込んできたガキどもを口にはせずとも大事にしている男なのだ。

 優しい、男なのだ。

 そんなあいつにのめり込んで、のめり込まれて――そうやってあいつと行き着く先が、恐ろしいものであるわけが、ないだろうに。

「妙な線引きをしようとして悪かった。お前の気持ちから逃げようとして悪かった。誤解させたことも悪かったと、思ってるから……だから、身体だけだとか、そういうことは……もう言わないで……思わないで、くれないか……――、」

 不意にぎい、と、床がきしむ音が鳴った。そして俯いたままの視界に、あいつの生白い爪先が現れる。
 俺は首がもげそうになる勢いで顔を上げた。こっちへやってきた万事屋が俺を抱き締めたのは、それと殆ど同時のことだった。
「昨日俺、時間くれとか言ったよな。でもお前が会いに来てくれて、正直死ぬほど嬉しかった。お前の顔見た瞬間に頭ん中がぱーんってなっちまって、思わず逃げたけど。でも本当に嬉しかったんだよ、俺ァ」
「そうかよ」
「もしかしたらお前が追ってきてくれるんじゃねぇかって、期待もしちまった。だから家の鍵も、かけられなかった」
「……置き去りにしてきたガキどもが帰ってくるからじゃねぇのかよ」
省7
178: (スプッ Sdb8-xmDs) 2016/04/08(金)06:12 d AAS
「俺ァよ、土方くん。今日みたいに結構すぐに舞い上がっちまうし、期待してはそわそわわくわくしちまうし、こうやってお前が来てくれて、色々その……
夢みたいなこと言ってくれて、そんだけで立ち直れちまうような、簡単な男なんだぜ。お前に本気で惚れちまってからだ。どうしようもねぇ男になっちまった。そんなでもいいのか、お前は」
「どうしようもねぇのは元々じゃねぇか。構わねぇよ」
「いやいやお前ね、もっとちゃんと考えなさいよ。お前、初めてした時のこと覚えてる?あん時俺、酔いに任せて酷いことしちゃったよね?ちゃんとケツ慣らしてやれなかったし、お前も初めてだったから、入り口切れて血ぃ出ちまっただろ。
お前はいてぇいてぇって泣きながら、本気で痛がってんのに、俺ァなんかもうそんなお前に滅茶苦茶興奮しちまって、ほら、あれだよ……
土方トンネル開通記念〜とか言って、お前のケータイでぱっしゃぱしゃ写真撮りまくっちまったじゃねぇか。そんでがんっがんに、犯しちまったじゃねぇか」
「……ああ、そういやそんなこともあったな。改めて聞くとセンスがおっさん過ぎて悲しくなってくるな……。トンネルてお前。開通記念てお前」
「やめろ馬鹿人の傷口抉んな馬鹿。……で、お前はさぁ。初っ端からそんなろくでもねぇことしでかした男とよぉ、末永くお付き合いしてやってもいいって……本気で思ってくれるのかよ……」
「……」
 初めてこの男と寝た時のことは、それなりに鮮明に覚えている。
省10
179: (スプッ Sdb8-xmDs) 2016/04/08(金)06:13 d AAS
 万事屋の言う開通云々は、それからほんの数分後にあったことである。
 アホみたいに硬くなったちんこをろくに慣らしてもないケツにハメられて、こっちは出血してるってのにあいつは抜くどころか容赦なく腰を振るばかりであった。ハメ撮りのおまけ付きである。
 とんでもなく痛かったし、人生で一番の屈辱を受けた気分にもなっていた。
 結局あの時撮られた最悪の写メたちは、一枚一枚俺がこの手で削除した。本当にろくでもない思い出だ。
 だたもう指先に力を入れることもできなくなって、されるがままになっていたこの身体を抱き締めた万事屋が――

『処女じゃ、なくなっちゃったね土方くん、おめーも今日から一人前のオンナだよ、おめでとさん、っ、なぁ、こんな身体になっちまった、のに、っ、おまえ、これからオンナ、抱けんの?
抱けねぇよなぁ、俺なら恥ずかしくて抱けねぇよ、抱け、ねぇよなぁあ?っ、おまえは、これからはずっと……俺のオンナになってりゃ、いいの……俺とだけ、こんなことしてりゃ、いいの……な、土方、ひじかた……な……おれ、すげぇきもちい、よ……』

 必死こいた声でそんなことを、耳へ直接吹き込んできたものだから。
 俺は、この不器用なサド野郎がちょっと愛しくて可愛いのだと、感じてしまって――今にしてみれば本当に、あの時の俺は頭が沸いてたんじゃねぇかと思えてならないのだが。

『ん……しない……てめーとしか……しない……』
省7
180: (スプッ Sdb8-xmDs) 2016/04/08(金)06:14 d AAS
 あいつの両肩に手をついて、少し距離を取りつつ顔を上げた。
 久しぶりに見たような気のするあいつの顔は、眉と眉間の距離が狭まったとてもらしくない表情に強張っている。
「……馬鹿」
 そんな真面目くさった面で至近距離から見つめていられると、気が変になってしまいそうになる。
 俺はもう一度あいつの肩口に顔を埋めて、そのまま
「上等だ」
と呟いた。口の中で呟くような、えらく小さな声になってしまった。
 恥ずかしかったのだ。こんなもん、プロポーズをされてるみたいなものじゃないか。
 受け入れてしまったようなものじゃないか。
 あいつに聞こえていないなら、それでもいいとさえ思った。
省14
181: (スプッ Sdb8-xmDs) 2016/04/08(金)06:15 d AAS
 どうやらこの身体は本当に冷え切ってたようで、さして温度が高いわけでもないのだろう湯船のお湯が刺さるように痛かった。
 ――もしかして1ヵ月前のデートらしきものの時も、寒かったから顔が赤くなってしまったのだ、とでも言っておけば、あんなに必死こいて襟巻を引っ張り上げずに済んだのではないか。
 気付かなくてもいいことに気付いてしまった瞬間に、俺は頭まで湯船の中に沈んだのだった。
「遅かったな。ちゃんと暖まってきた?」
「……おう」
「こっちも今、できたとこ。味噌汁よそってくっから、座って待ってて」
「…………おう」
「……」
「……んだよ」
「……なんか、想像以上にそそるな」
省12
182: (スプッ Sdb8-xmDs) 2016/04/08(金)06:16 d AAS
 だが今日は。今日は何をどう話せばいいのかが、本当に分からない。
 万事屋も同じようなことを思っているのではないか。
 さっきからちらちらと視線を寄越して来たり、何か言いたげに口を開いたと思ったら難しそうな顔で白米をかっ込んだりと、あからさまに落ち着かない様子なのである。
 結局会話らしい会話をしたのは、出された食事をあらかた平らげて、食後の一服をしていた最中だ。
「お前はさぁ。馬鹿みたいにまっすぐで、頑なで……ほんと頑なすぎて、たまにマジでこいつ馬鹿なんじゃねぇかって思うこともあんだけど、でもお前はそういう奴だからこんなにき、……綺麗なんだろうし、あんま言いたかないけどすげぇいい男なんだろうなって、思ってるよ。
だって俺は、おめーがそんなだから惚れちまったんだもの。お前が今のお前のまんままっすぐに生きていけりゃ、これほど嬉しいこともねぇんだって、んなことも、思ってる」
 到底、素面で言うようなことではない。
 その証拠に、万事屋は真っ赤である。
 やっべーテンションに任せて言わんでもいいこと言っちまったー、って顔をしてる。
 なんだか見ていられなかったので、慌てて俺はあいつから顔を背けた。
省12
183: (スプッ Sdb8-xmDs) 2016/04/08(金)06:16 d AAS
 どたどたと忙しない足音をかき鳴らしながら、万事屋が風呂場へと駆けてゆく。
 その背を見送ってから、俺は重ねた食器を持って台所へ向かった。
 蛇口から勢いよく飛び出す冷水が、火照った肌に気持ちがいい。
 このまま冷えて、冷えて、頬のみならず全身にまで広まった赤みがちょっとでも引いてくれればいい。
 無理か、無理だな。どうせあいつが戻ってきたら、また身体中のあちこちがかっかと熱くなるに決まっている。
「おまたせ!待った!?」
「は、早ぇよ馬鹿」
 食器をあらかた洗い終え、居間へ戻ろうと廊下に出たところで、俺は万事屋に捕まった。
 突如後ろから抱きしめられたのである。
 どうにもあいつは服を着ていないらしかった。
省15
184: (スプッ Sdb8-xmDs) 2016/04/08(金)06:18 d AAS
 SM紛いのことをしていた時のように、激しいわけではない。
 かといって、この1ヵ月のようにひたすら優しいわけでもない。
 がっちりと拘束するように俺を抱き締める腕と足の力はとても強く、そこそこの勢いで叩きつけられる下半身に押されてひしゃげるケツが痛かった。
 だがそれはこの1ヵ月散々された『優しい』抱き方よりも、ずっと優しく感じるのは俺の気のせいなのだろうか。ずっと、大事にされているように感じるのだって。
「ぁ、ぁ、ぁ……あっ……」
「……ふ、……ん、ん……」
 あんなに嫌で怖かった穏やかなセックスが、今はなんにも嫌じゃなかったし、怖くなかった。
 もっともっとして欲しくて、1秒でも長くこんな時間が続けばいいとすらも思っていた。
 身体をを捩ると、中に入ったものに刺激される場所が変わる。
 もっと中の色んなところを、もっともっと、他でもない万事屋の性器に触れて欲しかったので、俺は何度も腰を振った。
省18
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