[過去ログ] 【伝奇】東京ブリーチャーズ【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net (285レス)
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54: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE 2016/12/13(火)23:13 ID:6ccLBc3u(4/4) AAS
髪さま「……」
尾弐「……」
髪さま「……」
尾弐「……」

髪さま「……おーい、始めないゾナか?」
尾弐「……あ?何を?」

髪さま「何を?じゃないゾナ!オマケコーナーゾナ!『尾弐黒雄のナイト・ブリーチャー!』とか何とかさっさと始めるゾナ!」
尾弐「いや、なんでいい年したオッサンがンなもん初めなきゃならねぇんだよ。つか、今腰に湿布貼ってんだからちょっと静かにしてくれ」

髪さま「わざわざこのワシを出しておいておまけコーナーで湿布貼り始めるとかどういう了見ぞな!?」
尾弐「うるせぇなぁ、集中させてくれって。湿布が皺になったらどうしてくれんだよ。以外と不愉快なんだぞアレ」
省21
55: 那須野橘音 ◆TIr/ZhnrYI 2016/12/14(水)20:20 ID:9M2arDF/(1/4) AAS
正直な話、祈が役目を果たせるかどうか自信はなかった。
妖怪には歴史、逸話、知名度――それらによって厳然たる位(ランク)が存在し、頂点はいわゆる魔王、神、と呼ばれる。
極端な話、一般に仏だとか、西洋で天使だ悪魔だと言われている者も、すべては妖怪の一種である。
それらの存在もすべて、人間の豊かな想像力によって生まれたのだから。

そんな妖怪のランクの中でも、神の名を冠するだけあって祟り神は相当な上位に位置する。
人間の感情の中で最も激しく、最も強いもの。それは『恨み』である。
菅原道真や崇徳上皇の例がある通り、人間は自らをも焼き焦がすほどの恨みによってしばしば祟り神に変じる。
恨みとは無限のパワー。対象が滅びるまで、その力が衰えることは決してない。

いくら祈が身体能力において他の追随を許さないとは言っても、正面切って八尺様に勝つことは不可能に近い。
攻撃されるほど、時間が経つほど、八尺様の恨みは激しく、強くなる。
省29
56: 那須野橘音 ◆TIr/ZhnrYI 2016/12/14(水)20:24 ID:9M2arDF/(2/4) AAS
>来るよ、祈ちゃん!

注意を促すノエルの声を合図とするように、八尺様が一気に突っかけてくる。

ドッ!ドウッ!ドズッ!

あっという間に距離を詰めてきた八尺様の拳の連撃が、ノエルを襲う。
驚異的に長いリーチから放たれる、迫撃砲のような重い打撃だ。防御をしてもなお衝撃が身体に響く。
それを、八尺様は矢継ぎ早に繰り出してくる。一打一打に憎悪のこもった、致死の拳撃。
八尺様のラッシュを凌げるのは、ノエルが見た目の優男ぶりに反して手練の漂白者であるからと言うしかない。
怒涛の攻勢の隙を衝き、ノエルもまた氷で作った刀を振りかざす。氷華が舞い散り、足許に霜が生まれては消えてゆく。
人外の身体能力を惜しげもなく使った、異能同士の戦闘。

「……いやはや、いつもながら目まぐるしい」
省30
57: 那須野橘音 ◆TIr/ZhnrYI 2016/12/14(水)20:28 ID:9M2arDF/(3/4) AAS
「……あ、あなたは……!」

思わず頓狂な声を出してしまう。仮面の奥で、橘音は目を瞬かせた。
今しがたまで八尺様がいた場所には、代わりに黒ずくめの大男が佇立している。
もちろん、その姿には見覚えがある。東京ブリーチャーズのひとり、尾弐黒雄。

「クロオさ―――んっ!来てくれたんです……ね……?」

>…………お、おえええぇェェ……!!

予想外の援軍に橘音は満面喜色を湛えたが、すぐにその口許がひきつる。
この上なくかっこいい登場の直後に、この上なくかっこ悪い嘔吐。バンジージャンプ並に高低差が激しい。
若干引き気味に見守っていたが、黒雄が復活し、
省23
58
(1): 那須野橘音 ◆TIr/ZhnrYI 2016/12/14(水)20:51 ID:9M2arDF/(4/4) AAS
八尺様とは本来、ワンピースを着た女性型怪異のことを指す単語では『ない』。

八尺様の起源は古く、室町時代にまで遡る。
中世の日本ではしばしば大規模な飢饉が発生し、人々は貧困と飢餓にあえいだ。
そういった自然相手の天災が発生した場合、人々の取る方策とはひとつしかない。『神頼み』である。
人々は自らの境遇を神の怒りによるものと考え、状況を打破するため神に祈りを捧げた。雨乞いなどその最たるものであろう。
しかし神とは狭量なもので、無手の祈りには耳を傾けない。願いの対価には供物が必要である。
人々は願いを叶えて貰うため、なけなしの食べ物や酒を神前に興じた。
そして、そんな供物の中で最も価値があるとされたのは、人間の命であった。

川の氾濫を食い止めるため、水神へ生娘を嫁に出す。豊作を祈願し、山神に屈強な若者を捧げる。
そんな人身御供の逸話は、枚挙に暇がない。
省41
59: 多甫 祈 ◆MJjxToab/g 2016/12/17(土)00:06 ID:qDvHNRhH(1/5) AAS
「……おっかぁ?」
 橘音が呼び出した真っ黒なシルエットが、不安げな子供の声で言う。
そのまま暗闇に溶け込んでしまいそうな影のようなそのシルエットは、
よくよく目を凝らせば人間の少年のものであることが分かる。痩せた体に、この時代にそぐわない粗末な着物。
足は裸足だろうか。
 だが顔は分からない。輪郭もぼやけて曖昧だ。
それはこの黒い少年が、己の顔すらも忘れてしまっていることを意味していた。
 意志の弱い幽霊や力の弱い妖怪には時折あることだが、
長い時を経るなどすると彼らのことを誰もが忘れてしまう。というよりも覚えている者がこの世から消えてしまうのだが、
そうなると現世との結び付きが薄弱になり、己の姿を保てなくなっていくのである。
省16
60: 多甫 祈 ◆MJjxToab/g 2016/12/17(土)00:13 ID:qDvHNRhH(2/5) AAS
――自分の息子をかわいがる隣家の女を見ると涙が滲んだ。
 私にはあの子がいないのに、どうしてお前だけ。私にもあんなかわいらしい笑顔を向ける子がいたはずだったのに。
すがる思いで神に手を合わせたが、息子は帰ってこなかった。
 雨が降らないからと、生贄に捧げた息子を役立たずだと罵った男を殺してやった。
 私に我が子を差し出させておきながら、己の娘だけは守ってのうのうと暮らす村長を鎌で刺したが、殺すことはできなかった。
 村の男衆に捕まり、気狂いだとして閉じ込められ、殺された。首を絞められた。
 あらぬ限りの力で叫んだ。返せ。
 どうして。お前たちの所為じゃないか。
 返せ。
 お前たちの所為だ、お前たちの所為だ。我が子を返せ。もう会えない。
省37
61: 多甫 祈 ◆MJjxToab/g 2016/12/17(土)00:19 ID:qDvHNRhH(3/5) AAS
 その光景を見て状況を理解できないのは、橘音以外のブリーチャーズ全員だっただろう。
ノエル、尾弐、そして祈の3人は、事態の推移を見守りながら、橘音の傍らへとやってきた。
「どういうことだよ、あれ」
 先に口を開いたのは祈だった。あれ、と顎でしゃくって、八尺様たちを示す。
 先程まで激しく戦っていたかと思えば、
橘音がいつもの妖怪時計もとい便利妖怪召喚タブレットによって黒いシルエットを呼び出し、
それが八尺様に語り掛けると、どうやら八尺様は満足してその黒いシルエットと共に成仏していくようである。
 打ち合わせでは、自分達が戦闘で八尺様を叩きのめし、会話でなんとか納められれば良し、
できなければ封印等で漂白ということであったのに、話と違うではないか。納得できる説明を求む。
 そう言いたげな不満そうな顔で、パーカーのポケットに両手を突っ込んでいる。
省20
62: 多甫 祈 ◆MJjxToab/g 2016/12/17(土)00:39 ID:qDvHNRhH(4/5) AAS
 ある田舎の村で男児を狙った陰惨な事件が起きた。
犯人はなかなかに長身の女で、犯行時白いワンピースを着ていたことがわかっている。

 女は、男児への歪んだ性愛を抑えることができなかった。
公園で見知らぬ男児に声を掛けるというだけでも充分に異常な行動だが、
女はある時は2mを超える塀をよじ登ってでも男児の姿を眺めている、というような常軌を逸した行動に出ることがあった。
 男児たちはその女の視線に気が付いて言うのだ。
「とても大きな女の人が塀から顔を出して、じっとぼくを見ていた」と。
 塀を超すほど背丈の大きな女が子供を見つめていると言う噂は、実しやかに囁かれ、村中を駆け巡った。
 ある時誰かが言った。それはもしや『八尺様』ではないか、と。
 当時その村では、既に橋役様の名前は訛りはじめて、八尺様という名で定着しつつあった。
省35
63
(1): 多甫 祈 ◆MJjxToab/g 2016/12/17(土)00:53 ID:qDvHNRhH(5/5) AAS
祈   「多甫 祈の! えーと、オマケ……にすらならないコーナーだッ!」
祈   「もうあたしのターンかなと思って続きを書いちゃったけど、
     もし>>58が途中で、橘音が残った2日ぐらいで続き書こうとしてたらどうしようって今更思ってさ」
祈   「そんでちょっとだけこう、書いてんだけど……」
祈   「もしそうだったら、ご、ごめんな? その時はあたしの方は無視しちゃっていいから!」
祈   「てことで、その。ごめんっ! そんだけ! じゃーねっ!」
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(1): 那須野橘音 ◆TIr/ZhnrYI 2016/12/17(土)07:01 ID:7Y34/ubK(1) AAS
橘音「皆さんおはようございます。毎度おなじみ流浪のコーナー、那須野橘音のモーニング・ブリーチャーのお時間です」
髪さま「もう少し節操を持てゾナ」

>>63 祈ちゃん
橘音「何も問題ありません!というか、祈ちゃんにはボクの目論見をことごとく看破されてしまいました……」
髪さま「もう、チームのブレーン交代した方がいいんじゃないかゾナ?」
橘音「そしたらボクはお茶くみだけしてればいいですか?……それはともかく、いい流れだと思います」
髪さま「橘音が当初想定していたシナリオよりよっぽど面白いゾナ」
橘音「ぐうの音も出ません……」
髪さま「じゃあ、あれがブリーチャーズが本当に漂白するべき《妖壊》ということゾナね。後はノエルと尾弐に任せるゾナ」
橘音「遠慮なくやっつけちゃってください!ではまた次回!」
65: ノエル ◆4fQkd8JTfc 2016/12/19(月)00:46 ID:TmQU6R+e(1/4) AAS
ノエルは端から見ると八尺様とほぼ互角の戦いを繰り広げながらも、内心かなり焦っていた。
でかいし速いしリーチは長い。何より特筆すべきはその怨念の強さ。
凌いでも尚腹の底に響く、物理的な意味だけではない生気を抉り取るような衝撃。まともに食らえば一撃KOだろう。
もはや一体の妖怪を相手にしているとは思えない……複数の存在の集合体だろうか。
最初こそ「純粋な乙女心を弄んでサーセーン!」とか「顔は勘弁してね!」とか軽口も出ていたものだが、その余裕すらなくなってきた。
その様子を察してか、橘音が祈に加勢に入るように要請する。
どうやら八尺様は、自分好みの美少年の振りをしている祈には攻撃できないようだ。
しかしそれなら、微妙にストライクゾーンを外れている橘音が狙われないのは何故か。
そう、まるで自分だけが狙われているような……。何故だろう、胸の奥がざわざわする。
何時もなら強烈な憎悪も完全スルー出来るのに、責められている気がして罪悪感に苛まれる。
省19
66: ノエル ◆4fQkd8JTfc 2016/12/19(月)00:51 ID:TmQU6R+e(2/4) AAS
「……げぇ! 何あれ、マドハンド!?」

安心したのも束の間、八尺様の周囲の地面から無数の腕が生えていた。
少しでも気を抜けば飲み込まれてしまいそうな禍々しい瘴気。

>「ノエルさん、祈ちゃん、クロオさん。もう少しだけ彼女のお相手をお願いします。ボクに時間を下さい」
>「そう。八尺様をどうにかする方法を考える時間を――」

いつもなら一瞬にして対処法を弾きだす橘音が、時間をくれと言う。それだけ厄介な相手なのだ。
おまけに本当に聞こえているのか、幻聴なのか分からない声が聞こえてくる。

(まだ分からぬか? 自分が何故恨まれているのか)
省15
67: ノエル ◆4fQkd8JTfc 2016/12/19(月)00:54 ID:TmQU6R+e(3/4) AAS
゚+。*゚+。。+゚*。+゚ ゚+。*゚+。。+゚*。+゚ ゚+。*゚+。。+゚*。゚+。*゚+。。+゚*゚+。。+゚*。+゚

遥か昔――ノエルがノエルという名前と今の姿を得るずっと前。
雪ん娘と呼ばれるまだ子どもの雪女だった時の話。
まだ発生してからそれ程時が経っていない、雪山に住まう雪の精のような存在だったころ。
唯一無二の親友がいた。それは人間ではなく、かといって妖怪でもなかった。
ふわふわの毛皮にもふもふの尻尾の暖かい生き物。
一緒に雪の中を駆け回って、冷たいのも嫌がらずに抱き枕になって眠ってくれた。
しかし永遠を生きる妖怪たるもの、刹那で死んでしまう普通の生き物と馴れ合ってはいけないというのがその当時の掟で
案の定と言うべきか大事件が起きてしまった。
ある日親友が死んだ……人間に殺されたのだ。
省27
68: ノエル ◆4fQkd8JTfc 2016/12/19(月)00:59 ID:TmQU6R+e(4/4) AAS
「あれ? “いめちぇん”した? 前の美少女も良かったけどそれはそれでいいな!」

益々何のことだか分からなくなる祈達と、動揺しまくるノエル。
この際人違いで押し通してやりたいと思うが、それは無理な話である。
妖怪たるもの、姿が変わることは稀によくあるが、妖力の形質のようなものはおいそれと変わらない。
純粋な子どもには、変装(?)している知人を気付かない振りをするという高度な気遣いは無かった!
ついに観念したノエルは土下座する。

「ごめん……! 僕は神様なんかじゃない……。
どうしようもなく弱かったから人に仇成す化け物になったんだ!」

「妖怪は人々がそうだと思えばそうなる……君が何と言おうとオラにとっては神様だ。
……せめて立派に役目を果たせたと思わせてくれたっていいだろ?
省21
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(3): 品岡 ◆VO3bAk5naQ 2016/12/19(月)07:28 ID:4A123NSi(1) AAS
名前:品岡ムジナ(しなおか - )
外見年齢:24
性別:男
身長:175
体重:60
スリーサイズ:中肉中背
種族:元のっぺらぼう現式神
職業:暴力団構成員
性格:お調子者・チンピラ・似非関西弁
長所:義理堅い
省20
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(2): 那須野橘音 ◆TIr/ZhnrYI 2016/12/19(月)22:43 ID:ayvFiyZ7(1) AAS
橘音「こんばんは、那須野橘音のナイト・ブリーチャーのお時間です。司会はボク、那須野橘音と」
髪さま「今年の漢字一文字は『毛』これで決まりゾナね。髪さまでお送りするゾナ」
橘音「いえ、今年の漢字一文字は『金』で決まっちゃいましたし」
髪さま「ゾナ!?誰の許しを得てゾナ!?」
橘音「少なくとも髪さまの許可が必要ないことだけは確かです」

>>69 ムジナさん
髪さま「また男かゾナ!ワシは乳のでかい美女を希望してるというのにゾナ!」
橘音「高女あたりですか?」
髪さま「乳はでかいかもしれんが、乳に比例して背も高いゾナ……確実に」
橘音「髪さまの要望はともかく、歓迎しますよ!ようこそ東京ブリーチャーズへ!」
省15
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(2): 2016/12/19(月)23:50 ID:jA1pFeAe(1) AAS
男ばかりで強そうなチームにはなったよね
72: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE 2016/12/22(木)00:54 ID:h75M8XMQ(1/6) AAS
>「いいですよ、ただしボクが逃げた後でよろしく!」

「上司の帰宅まで帰れないたぁ、化物業界も人間じみてきたもんだぜ」

いつも通りの軽口を叩きあう、尾弐と那須野。
だが、垂れ流す言葉こそ弛緩しているものの、尾弐は一瞬たりとも八尺様から視線を外す事はしない。
それは、眼前で繰り広げられている光景が危険なものである事を察知しているが故。

「ぽぽ……ぽぽぽぽぽ」

まるで地に埋められた死者が助けを請うている様に、
異形の怪物たる八尺様の周囲の地面から這い出て来たのは、数多の腕。
省29
73: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE 2016/12/22(木)00:55 ID:h75M8XMQ(2/6) AAS
(ノエルの奴ならどうにか出来そうなんだが……どうにもさっきから妙な調子みてぇだしな)

種族としての雪女であるノエル。雪を繰り氷を統べる彼の権能は、広域殲滅戦において非常に有効なモノである。
本来であれば、尾弐が攻撃を引き受けノエルが随時腕を氷殺し続ける事で、腕との戦いは優位に進められた筈なのだが

>「違う……」

そのノエルは、先ほどから腕と戦ってはいるものの、その動きは尾弐が知る本調子とは程遠い。
まるで病魔に憑かれた人間の様に、常の精彩は見る影も無く……

> 「―――――ッ!!」
「なっ!?」
省21
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